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はぁ、はぁ……良かったー、なんとか1回目のチャイムに間に合ったよ。 蒼星石と話をしながら来たから回り道したんだよなぁ~ってアブナイ!! 遅刻しそうになったジュンは階段を走り、そのまま勢いよく廊下に飛び出る。 そこに水銀燈のクラスからフラリと出てきた翠星石とぶつかった。 「うぅ~、いったいですぅ~。気ぃつけやがれですぅ!!」 「ゴ、ゴメンなさい…って翠星石かッ!」 「ジュ…ジュン!?」 偶然とはいえ目の前にジュンがいる。 翠星石にとって今日1日はジュンと目を合わせたくなかった。 しかし今、こうして手をほんの少し伸ばせば触れられる位置にジュンがいる。 それもいつもの笑顔で尻餅をついている翠星石に手を差し伸べている。 一瞬、差し伸べられている手を取りそうになる翠星石だが、すぐに澄ました表情でジュンの顔を見ずに立ち上がると無言のまま教室に戻った。 あれぇ~? どうしたんだろ翠星石…いつもなら怒ってくるのに… まさか、マジで怒ってるのかな?でも廊下でぶつかったくらいであんなに怒るはずないよなぁ~? ジュンはヤリ場の無くなった手を引くと、不思議そうに頭をかきながら教室に入っていった。 まだ授業が始まっていないため生徒達の話し声が教室の中を行きかう。 その会話に混じってジュンに挨拶をする真紅の声が聞えた。 「おはよう…ジュン…」 「あ、あぁ、おはよう」 今朝すでに2人は、おはようと言い合ったはずなのに今こうして改めて声を掛け合っているのに気付き、互いに少しうつむく。 しかし、その不自然さに真紅がクスッと笑うとジュンも顔を上げて笑い出す。 そんなジュンと真紅の軽い笑い声に言葉はいらなかった。 そして授業が始まり、教室の雑音が極端に少なくなってもとなりどうしのジュンと真紅は小さな声で何やら話し、時折クスッと笑っている。 いつもなら、そんな時は決まって後ろの席に座る翠星石がチョッカイをかけてくるのだが、今日は何もしてこない。 それどころか意図的に2人の方を見ないようにしている。 それに気付いた真紅はジュンとの会話の中で翠星石のことについて質問する。 「ねぇ、ジュン。今日の翠星石はどうしたの?」 「あぁ、僕もオカシイと思っているんだよ、なんだか怒ってるみたいで」 「なにか心当たりってあるかしら?」 「さぁ、さっき廊下でぶつかった事くらいしか思いつかないよ…」 いくら2人と席が離れているとはいえ翠星石の耳には微かにジュンと真紅の話し声が聞える。 いや、聞えると言うよりも顔は違う方向を見ながら、意識して2人の会話を聞いていたといったほうがいいだろう。 しかし席がやや離れているため詳しい会話の内容までは聞き取れない。 だが、時折2人の会話の中に自分の名前が含まれているのは聞き取れる。 なんですぅ! 翠星石の何を話してるですかぁ~!! 普段の翠星石ならこんな感情など持たないだろう。 しかし今の翠星石はジュンと真紅に対して怒りを感じ始めていた。 それは明らかに嫉妬から怒りへと心境が変化した瞬間であった。 そのため翠星石は授業が終わり、教室に騒がしさが戻るとすぐに教室から姿を消し、次の授業が始まる直後に戻ってくるといった行動を取り始めた。 その間、ジュンと真紅は何度か翠星石に話しかけたが、帰ってくる言葉は短く素っ気無いものばかりであった。 そしてそのまま午前の授業は終わり昼休みに入った。 「もしもし…あぁ、水銀燈? えぇ、どうしたの?」 「どうしたの?じゃないでしょぉ~。曲ができたのよぉ~って翠星石から聞いてなかったのぉ~?」 「えっ、な、何も聞いてないのだわ」 「そぉ?翠星石もそこにいるんでしょぉ~?早くみんなで部室に集合よぉ」 「解ったわ、でも翠星石はここにはいないわ…」 「ふぅ~ん、部室に向かってる途中ぅ?まぁいいわ、すぐに私が翠星石に電話するからぁ、真紅もすぐに来てねぇ~」 もう、真紅もジュンも知らねぇですぅ…蒼星石も水銀燈も金糸雀も、みんなみんな大っ嫌いですぅ!! 昼休み時の楽しそうな声が聞えてくる中で翠星石は一人、だれもいないテニスコートのベンチに腰をかけて両膝を抱いていた。 「おかしいわねぇ~、翠星石ったら電話が通じないわぁ」 「どういう事かしら、この学校で圏外になる所ってあるかしらぁ?」 「圏外ぃ? あぁ、あの場所ねぇ~」 水銀燈は金糸雀のいった圏外に心当たりがあった。 以前、ローゼンメイデンの母体である軽音楽部の部室がまだ無かった頃、水銀燈はよくテニス部の部室で授業をサボっていたのだ。 そこは校舎と他の建物や山などの位置関係なのか極端に電波が届かなかったことを思い出した。 「まったく、テニスなんかヤッてる場合じゃないのに~、ちょっと翠星石を連れてくわぁ~、真紅が来たら曲のイメージだけでも言っておいてぇ」 「解ったかしらぁ~」 水銀燈は部室を出るとまっすぐテニスコートに向かった。 それから数分後、真紅とジュンが部室に姿を見せる。 あらぁ、なぁに? あの子ったら一人で何をヤッてるのぉ~? 水銀燈がテニスコートで見たのは抱えた膝に顔を埋めて泣いている翠星石の姿であった。 それは建物の影で体を丸め、弱々しく泣きじゃくる子猫のようにも見えた。 す、翠星石ぃ……? 思いもしない場面にでくわした水銀燈はそっと翠星石に近寄る。 冷たい北風が泣きじゃくる栗毛色の髪を乱す。 そんな髪を直すことなく声を殺して、ただ今は細い肩を揺らして泣いているだけ。 水銀燈はそっと翠星石のとなりに座ると無言で乱れた髪を撫でた。 「うぅ、グスッ…さ、触るな…ですぅ…グスッ」 「フフッ、泣くか怒るどっちか、どっちかにしなさい」 「な、泣いてなんかねぇですぅ…グスッ」 翠星石は膝に顔を埋めたままで髪を撫でる水銀燈の腕を振り払おうとするが、反対にその手をつかまれてしまう。 それでも始めは、つかまれた手をどうにかしようと弱々しくも抵抗を試みる。 しかし水銀燈はそんな翠星石の手を握ったまま自分のほうへグイッと引き寄せて嗚咽に震える細い肩を抱いた。 「何があったか知らないけどぉ、強がるのはヤメなさぁい、子猫ちゃん」 「す、翠星石は…グスッ、な、泣いてなんかねぇですぅ…うぅ、うぅ…」 Illust ID VrCrFKAKO 氏(112th take) 「はいはい、泣いてないわねぇ~、翠星石は強い子よねぇ~」 「そ、そーですぅ、翠星石は強い…強い子なので…うぅ、うぇぇぇ~~ん」 抱かれた肩が鳴き声と共に大きく揺れる。 水銀燈はそんな翠星石の肩をより強く抱きしめた。 それは優しくてとても温かみと安心感があったのか、いつしか翠星石は埋めていた顔を膝から水銀燈の胸に変えて声を出しながら泣いていた。 そうなのぉ…まさか真紅があのままジュンの家に泊まったとはねぇ… 一通り泣いた翠星石から今回の訳を聞いた水銀燈は、あの時ムリをしてでも雨の中を走って真紅を迎えに行けば良かったと感じた。 しかし同時にあの真紅が簡単に男女の境界線を越えるとは思えなかった。 確かに今回のは私にも原因があるわぁ……それにこのままだとバンドは解散になっちゃうわねぇ~。 ようやく泣き止みつつある翠星石の背中をさすりながら考える。 そして水銀燈はベンチから立つと冷たい北風の中で泣いていた翠星石に暖かい飲み物を買ってくると言い残して自販機のほうに向かって歩き出す。 コクッと言葉なく頷いた翠星石は、ようやく涙を拭う。 「もしもし、あぁ水銀燈? 今どこにいるの?」 「ねぇ、真紅ぅ、ちょっと聞きたいんだけどぉ~」 水銀燈は自販機でホットカルピスのボタンを押しながら携帯電話で真紅と話しはじめた。 「ねぇ、昨日の夜ぅ、貴女どこにいたのぉ~?」 「えっ……そ、それは…」 突然の質問に答えが出てこない真紅は言葉を詰まらせたまま何も言い出せなかった。 「ふぅ~~ん、やっぱりそぉ~なの? 泊まっちゃったんだぁ~」 「………」 「で、もしかしてぇ~~何かあった訳ぇ?」 「な、何を言ってるの、私は何も…そんなことないのだわ!」 水銀燈の言葉に真紅はジュンの唇を感じた一瞬を思い出すと、「何も無かった。」とは言い切れない真紅がいる。 「私は真紅とジュンを信じてるけどぉ、本当に何も無かったのぉ?」 「…な、何も……そんな…」 「まぁ、いいわ信じてあげるぅ、でも話があるから昼休みが終わったら そのまま部室に残っていてほしいわぁ」 「部室?」 「そうよ、詳しい話はその時にするからぁ、あっ、話は私と真紅2人っきりよぉ~、イイ?」 「わかったわ」 「じゃ、また後でねぇ~」 そういい終わると真紅と水銀燈は同時に電話を切る。 しばらく携帯のモニターを見つめる真紅の後姿をジュンと金糸雀は心配な顔付きで眺めていた。 「なぁ真紅。今の電話は?」 「水銀燈かしら?それとも翠星石かしらぁ?」 「い、家の用事よ…」 携帯を制服のポケットに仕舞い込む真紅を見てジュンは、今言った言葉がウソだと直感的に解った。 おそらく金糸雀もそう感じただろう。 そのため部室にはどこか重い空気が漂い始めた。 その頃、水銀燈に貰ったホットカルピスを頬にあてて温もりを感じながら翠星石はベンチに座って北風に流される雲をただぼんやりと見ていた。 そしてチャイムが鳴った後、ジュンと金糸雀には家に電話をするから授業は遅刻すると言い残し、部室に残った真紅。 そこに少し遅れてやってきた水銀燈は音を立てないようにドアを閉めた。 「おまたせぇ~」 「話ってなんなの?水銀燈」 「フフッ、いろいろ聞いてみてもイイ~?」 「聞く? 私に何を聞きたいというの?」 「もちろんバンドの事よぉ、TV出演の期限が近付いていることだしぃ~~」 水銀燈はそう言いながらロッカーの中に隠している灰皿とタバコを出すとジョーカーに火をつけ、フゥ~っと煙を漂わす。 そして言葉を続けた。 「ねぇ真紅ぅ、今のままで私達のバンド、うまくヤッていけると思う~?」 「バンド…?」 「そぉ、バンドよぉ~」 真紅はいまいち質問の意味が解らなかった。 有栖川神社で行われたライブでも圧倒的に観客をひきつけたのは間違いなくローゼンメイデンである。 しかもそのライブ映像が24時間テレビで全国に流れるとTV局、ならびに数社のレーベルからコンタクトが入りだした。 そのことで真紅達はローゼンメイデンというバンドに大きな自信を感じていたのは確かである。 「どういう意味なの?水銀燈、質問がよく理解できないわ」 「ねぇ、真紅ぅ……演奏中に音程がズレたら、音がかみ合わなくなったらどうするぅ~?」 「修正していくわ、当然でしょ」 「じゃ、修正してもぉ、ぜんぜんダメな時はどうするのぉ?」 「どうするって…ねぇ水銀燈、貴女なにが言いたいの?はっきり言って頂戴」 どうも的を得ない質問に真紅は少し苛立ちを感じながら言った。 それに対し水銀燈はジョーカーの煙を天井に向かってフゥとはきながら静かに言葉をだす。 「今朝ジュンの家から帰るところを…翠星石に見られていたのに気付いてたのぉ~?」 「…えっ!!」 突然のセリフに真紅は驚き何も言えない。それどころか思考そのものが止まった感覚すら覚えた。 「貴女もぉ、翠星石の気持ちって気付いていたんでしょぉ~? まぁ貴女もジュンの事を意識しているのは解ってたけどぉ、正直どうなのぉ?」 まさか今朝のことを翠星石に見られていたとは思いもしなかった真紅は水銀燈の質問に言葉が出ない。 「…わ、私は………」 「まぁ、それは貴女と翠星石、そしてジュンの個人的な問題だから私はあまり口を挟むつもりはないけどぉ~、 ねぇ真紅ぅ、翠星石、泣いていたわよぉ~、 たぶんこのままじゃバンドは解散ねぇ……」 「そ、そんな……私は…」 水銀燈の言葉に真紅はただ言葉を無くし、うつむいた視線は足元に落ちているピックを見つめるだけ。 「最悪、バンドか男かを選ぶのは貴女と翠星石だからぁ~、 でもねぇ、その 両方を取るなんて多分できなわよぉ~、 これと同じことは翠星石にも言ってあるしぃ~、後は貴女達で決めなさい」 そう言うと水銀燈は短くなったジョーカーをもみ消し、出口に向かって歩き出した。 ドアに手をかけて部室から出て行こうとする水銀燈は最後に振り向きながら俯く真紅に向かって声をかける。 「あっ、そうそう、もし解散なら声をかけてねぇ~私の知らない間に解散だったなんてバッカみたいだからぁ~ フフッ、それと午後の授業はサボるから金糸雀に言っておいてねぇ~~、じゃぁねぇ~」 それだけ言うと水銀燈は部室を出て行く。 そして独り残された真紅はピックを見つめながら寒い北風が窓を叩く音を聞いていた。 (以下執筆継続中) (6)に戻る/長編SS保管庫へ/(8)に続く
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【制服オーディション】 3月9日~3月20日に渡り開催しました。 たくさんのご参加ありがとうございました! imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 ごきげんよう花のみなさん 教頭先生よ 制服オーディションではたくさんのご参加ありがとう ここではエントリーしてくれた制服に教頭先生がコメントさせてもらうわ 教頭先生の中の人である副主催はデザインや服飾の知識はゼロだから 素人コメントになるけど、そこは勘弁してちょうだい (キャラ的にえらそうに言ってますが、要は副主催がによによしながらコメントしたかっただけです//) ちなみに上のデザインは主催の美桜による見本デザインね 夏服と冬服で違いのはっきり分かるデザインが魅力的だわ あとニーソよね 冬でもニーソとはすばらしいわ (勝手にコメントするんじゃねえ!という方はご一報ください)
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「制服のマネキン」(せいふくのマネキン)は、乃木坂46の4枚目のシングル。2012年12月19日にN46Div.から発売された。 概要 前作「走れ!Bicycle」から約4か月ぶりで、2012年4枚目のシングルとなる。 DVD付きのType-A・B・CとCDのみの通常盤・アニメ盤の5形態で発売される。 また、表題曲名にちなんでメンバーがさまざまな制服を着用したポスターが都営地下鉄大江戸線の放射部を除く各駅に掲出された。伊勢丹、HTC (企業)|HTC NIPPON、全日本空輸、中日ドラゴンズ、東京都交通局、はとバス、ホテルヘリテイジの7社局が参加している(*1)。 チャート成績 週間1位(オリコン) 2012年12月度月間2位(オリコン) 登場回数7回(オリコン) 2012年(平成24年)12月31日付オリコンチャート|オリコン週間シングルチャートで初登場1位を記録した。乃木坂46のシングルの1位獲得は「おいでシャンプー」から3作連続となり、この3作はすべてグループがデビューした2012年内に1位を獲得している。デビュー年に3作のシングルで1位を獲得したのはKAT-TUN(2006年(平成18年)デビュー)以来6年ぶりであり、女性アーティスト(グループからのソロ・派生ユニットを除く)に限ると史上初である(それまでの最高記録は岩崎宏美(1975年デビュー)、NMB48(2011年デビュー)などによる2作)。初動売上は約23.3万枚となり、乃木坂46のシングルとしては初めて初動20万枚を突破した(*2)。 収録曲 Type-A ジャケット写真(表):生田絵梨花・生駒里奈 CD 1.制服のマネキン [4 21] (作詞:秋元康、作曲:杉山勝彦、編曲:百石元) ミュージック・ビデオの監督は池田一真、衣装担当はKIMIKA ONAI(尾内貴美香)(*3)。 撮影ロケ地は茨城県立高萩工業高等学校|旧高萩工業高校。 HTC (企業)『au (携帯電話)(KDDI)HTL21』CMソング HBC・TBSテレビ系『2013 HBCジャンプカップ』エンディングテーマ 2. 指望遠鏡 [3 20] (作詞:秋元康、作曲:北室龍馬、編曲:木村有希 (作曲家)|木村有希) ミュージック・ビデオの監督は丸山健志、制服以外のスタイリングはKIMIKA ONAI(尾内貴美香)が担当(*4)。 撮影ロケ地は伊豆大島。 MBSテレビ|MBS・TBS系『マギ』前期(第1話 - 第12話)エンディングテーマ 3. やさしさなら間に合ってる [4 31] (作詞:秋元康、作曲:松田純一、編曲:清水武仁) 4. 制服のマネキン オフヴォーカル|off vocal ver 5.指望遠鏡 off vocal ver 6.やさしさなら間に合ってる off vocal ver DVD 制服のマネキン -MUSIC VIDEO- 指望遠鏡 -MUSIC VIDEO- 苦手克服!明日への一歩!個人PV 特典(初回仕様限定) 全国握手会参加券兼スペシャルプレゼント応募券 生写真(Type-A 33種の内1種ランダム) Type-B ジャケット写真(表):星野みなみ・白石麻衣 CD 1.制服のマネキン 2.指望遠鏡 3.ここじゃないどこか [3 36] (作詞:秋元康、作曲:大藤史、編曲:京田誠一) ミュージック・ビデオの監督は岡川太郎。 NHK BSプレミアムテレビアニメ『うさぎのモフィ』エンディング・テーマ 4.制服のマネキン off vocal ver 5.指望遠鏡 off vocal ver 6.ここじゃないどこか off vocal ver DVD 制服のマネキン -MUSIC VIDEO- ここじゃないどこか -MUSIC VIDEO- 苦手克服!明日への一歩!個人PV 特典(初回仕様限定) 全国握手会参加券兼スペシャルプレゼント応募券 生写真(Type-B 30種の内1種ランダム) Type-C ジャケット写真(表):秋元真夏・桜井玲香 CD 1. 制服のマネキン 2.指望遠鏡 3.春のメロディー [4 46] (作詞:秋元康、作曲:フジノタカフミ、編曲:湯浅篤) ミュージック・ビデオの監督は柿本ケンサク。 4.制服のマネキン off vocal ver 5.指望遠鏡 off vocal ver 6.春のメロディー off vocal ver DVD 制服のマネキン -MUSIC VIDEO- 春のメロディー -MUSIC VIDEO- 苦手克服!明日への一歩!個人PV 特典(初回仕様限定) 全国握手会参加券兼スペシャルプレゼント応募券 生写真(Type-C 33種の内1種ランダム) 通常盤 ジャケット写真(表):橋本奈々未・松村沙友理 CD 1.制服のマネキン 2.指望遠鏡 3.渋谷ブルース [4 48] (作詞:秋元康、作曲・編曲:佐藤嘉風) 4.制服のマネキン off vocal ver 5.指望遠鏡 off vocal ver 6.渋谷ブルース off vocal ver 特典(キャラアニ・チャンス限定 個別握手会参加券付 通常盤のみ) 個別握手会参加券 アニメ盤 ジャケットイラスト(表):モルジアナ、アラジン、アリババ・サルージャ(テレビアニメ『マギ』) CD 1.制服のマネキン 2.指望遠鏡 3.指望遠鏡〜アニメ版〜 [1 34] 長さがアニメサイズに調整されている。 4.制服のマネキン off vocal ver 5.指望遠鏡 off vocal ver 特典(初回仕様限定) 全国握手会参加券兼スペシャルプレゼント応募券 『マギ』カード型ポケットカレンダー(3種の内1種ランダム) 選抜メンバー 制服のマネキン (前列:生駒里奈(センター)、生田絵梨花、星野みなみ (*5)|ナタリー]]|date=2012-10-08|accessdate=2012-11-22}})) 秋元真夏、生田絵梨花、生駒里奈、市來玲奈、井上小百合、齋藤飛鳥、桜井玲香、白石麻衣、高山一実、西野七瀬、能條愛未、橋本奈々未、深川麻衣、星野みなみ、松村沙友理、若月佑美 秋元が初選抜入り。齋藤、能條は1stシングル「ぐるぐるカーテン」以来7か月ぶりの選抜復帰。前作の選抜メンバーだった伊藤万理華、斉藤優里、中田花奈は選抜から外れた。 指望遠鏡 (センター:生駒里奈) 秋元真夏、生田絵梨花、生駒里奈、市來玲奈、井上小百合、齋藤飛鳥、桜井玲香、白石麻衣、高山一実、西野七瀬、能條愛未、橋本奈々未、深川麻衣、星野みなみ、松村沙友理、若月佑美 指望遠鏡〜アニメ版〜 (センター:生駒里奈) 生田絵梨花、生駒里奈、市來玲奈、伊藤万理華、井上小百合、斉藤優里、桜井玲香、白石麻衣、高山一実、中田花奈、西野七瀬、橋本奈々未、深川麻衣、星野みなみ、松村沙友理、若月佑美 春のメロディー (センター:中田花奈) 安藤美雲、伊藤寧々、伊藤万理華、衛藤美彩、柏幸奈、川後陽菜、川村真洋、斎藤ちはる、斉藤優里、中田花奈、中元日芽香、永島聖羅、畠中清羅、樋口日奈、宮澤成良、大和里菜、和田まあや 渋谷ブルース 白石麻衣、高山一実 外部リンク ディスコグラフィー | 乃木坂46公式サイト
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制服 沢山のフォローランの意見と、前生徒会長の独断と偏見で作成されました、 ご協力有り難うございました。 切ったり塗ったり縫ったり貼ったり脱いだりしてください。 この制服はあくまでテンプレなので、個性発揮の為に改造しましょう。例 配色・フリル・鎖・その他いろいろ いや、このままでもいいですけど・・・・ね。 女子 クリックで大きくなります→保存して自由にお使い下さい。(別窓で開けるようにしました) 男子 クリックで大きくなります→保存して自由にお使い下さい。 説明 ネクタイorリボン自由です。原画はリボン(女子)です。 男子ネクタイはだらしなくても構いません。(風紀委員が怒ってくれますよ^^) まあ上着は脱いだり着たり自由です。 靴下、靴自由 スカートの長さ、かなり自由 ブーツインしてもいいのよ 自由、フリー、フリーダム゜q゜ 夏服、冬服? そんなのコート脱げばいいよ!!!でもってワイシャツ半袖とかにするといい!! とにかく自由なので迷ったら自己流にしてください^^ 改造のススメ▼ 元ネタがうっすらとでも分かる程度....?この絵の自己流アレンジです。個性発揮してください。 今まで手に入れたSHKグッズを身につけるのも良いですね! 例 サイリュームケース・チャーム・バッヂ・コサージュその他もろもろ 配色も自由です。 頭身ほか、各自で気になったら修正してください。 この絵をそのまま使って頂いて構いません。デジタルならこのまま改造して頂いて構いません。消したり加えたり。 アナログの場合は見ながらアレンジ、印刷してオリジナルを加えながらトレースなど。 描いたものを写メでも構いません^^ ※素材は必ずダウンロードをしてお使いください。(右クリック保存など) 画像の直接呼出し(直リンク) ダウンロードしないで使うことは控えて下さい。 今日: -
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2月も中ごろを過ぎると朝夕の寒さも馴染んでくる。 暖房の効いた部屋にいると外の寒々とした景色に現実味が感じられない。 まるでテレビ画面に映し出された架空の風景にすら思える。 それもそのはず、温度差から生じた結露によりガラス窓はじっとりと 濡れているため季節風が枯れた街路樹の枝をゆらしている風景も どこか幻めいて遠い過去を見ているように感じられていたからだろう。 そんな結露のフィルターをつけた窓辺で薔薇水晶は頬杖をつき、ぼんやりと 外を眺めていた。 ……もうすぐ、この中学も卒業……4月からは新生活だっ…えへへ 【咲花 散る】 電車で1時間ほどの距離にとても都心に近い場所とは思えないほど青々と茂った葉を宿した 木立が立ち並ぶ広大な私有地がある。そこは国道から少しそれた脇道をそれほど急ではない坂を上り きった小高い山の中腹にあった。周りは淡い桜の花びらが散り、地面を風に運ばれ音も無く 滑っていく。その花びらが古めかしい作りのコンクリートの塊に当たって止まる。 そのコンクリートは精悍な門の一部。そこには『私立薔薇乙女学園』と刻まれた歴史を感じさせる 表札があった。 濃紺ではなく黒色に真新しい白いスカーフに同じく黒いプリーツスカート。それにおろしたての ピカピカと光っている靴。いたってオーソドックスな女子高生と言ったところだろうが、ブレザー 全盛期の今となってはいささか古さを感じさせる制服を着た少女たちは体育館で入学式のスピーチを 聞いていた。 ……退屈だな… 白いスカーフの端を小さな指で摘みながら薔薇水晶は演壇から長々と私立薔薇乙女学園の校風、歴史などを 話す教師にあくびを必死でかみ殺していた。そんな薔薇水晶が4度目のあくびを我慢していた頃、ようやく スピーチが終わり、それぞれがAクラスBクラスCクラスと3つの列になって始めての教室に入っていった。 1-Aと書かれたプレートがあるドアから出席番号順に席につくと担当の教師がさっそく出席を取る。 呼ばれた生徒は担任から生徒手帳とカギを手渡された。 この学園は入学するとよほどの事情がないかぎり強制的に寮生活がまっている。いわゆる全寮制というやつで、 そのための部屋のカギが入学と同時に手渡されるのである。もちろん生活に必要な私物は厳しいチェック の後に各自部屋にもって行くことになる。血気盛んな年頃である少女たちにとっては退屈このうえない高校生活 だろうが、この学園は全国でも非常に競争率のたかい名門校。卒業生の中には有力な女性政治家になった者、数々の 賞をとった女流作家や音楽家が多く含まれている。しかも街から離れた山の中の全寮制となれは親として大切な 娘に変な虫がつかないというだけで両手を上げて喜ぶ者がおおい。薔薇水晶の親もその中の一人であるのは簡単に 想像できた。 「ということで君達は今日からわが校の寮で生活をしてもらいます。各自のカギをもったらさっそく部屋に 荷物をもって新しい生活のスタートです。そこに君たちの先輩がいますのでよく先輩の忠告やアドバイスに 耳を傾けてください。そして先輩たちに負けない淑女となるよう勉学、スポーツともに努力してください」 「はい」 教師の言葉に彼女達は答える。その「はい」という返事とほぼ同時にチャイムが鳴り出した。 「それでは荷物をもって寮に行ってください」 大き目のトランクにリュックサック、それにスポーツバックをもった薔薇水晶は校舎から3分ほど 離れた洋館風の寮にむかってクラスメイトたちと話しながら歩き出した。 「こんにちは、私、桑田由奈。よろしくね」 「…あっ、わ…私、薔薇水晶、よ、よろしく」 「薔薇水晶って、綺麗な名前だね」 「あっ、ありがとー…えへへ」 「ねぇ、薔薇水晶、相部屋になる先輩ってどんな人なのかな?」 「…ん~~?…わ、わからない」 「そうだよね~、なんでもパートナーになる先輩のほうがクジ引きで私達の部屋番号を 引くらしいから行ってみないと解らないってウワサだしね~」 「…そ、そうだね……」 「いい先輩だったらいいのにね~」 「う、うん」 「あっ、あれが寮?なんだかヨーロッパにあるお屋敷みた~い、あっ、そうそう私の部屋は313号なんだ、 薔薇水晶の番号は?」 「わ、私の番号は……303号室だよ」 「ちょっと離れているね、また後でどんな先輩に当たったか教え合おうね」 「う、うん。解った」 「じゃ、薔薇水晶。また後でね~」 「うん、また後で…」 薔薇水晶と同じくらいのバックをもった桑田由奈は313号室に向かって歩くと、ドアに前に立ち少し緊張した 面持ちでコンコンと小さくノックし、ドア越しに「桑田由奈です、失礼します」と言うと部屋へ入っていった。 それと同じような光景が各ドアの前で見られた。薔薇水晶も緊張した表情のままドアを2回ほどノックする。 「はぁ~い、新入生でしょ~。開いてるわよぉ~」 中からやや大人びた声が聞こえる。その声、喋り方からしてあまり素行のよろしくない人物像を想像した薔薇 水晶は普段以上にどもりながら「失礼します」と声を掛けてドアを開けた。 「入学おめでと、私の名前は水銀燈。今日から1年間いっしょに過ごす3年生よぉ~、よろしくね」 そう言った水銀燈は窓辺に腰掛、黒いプリーツスカートから白く伸びる細い足をくみ、新緑の若葉を揺らす そよ風に銀色の髪をサラリとなびかせながら微笑を向けていた。 「………はっ、はい。私は、ば、薔薇水晶。よ、よろしくお願いします」 ドア越しの声からは想像できないほどの美しい少女が目の前にいた。春の優しい陽光に照らされて笑う水銀燈に 薔薇水晶は言葉を失った。この年代の少女にある理想の女性像、自分もああ成りたいと想像する姿が目の 前で笑っているのだ。急に胸の鼓動が感じられた薔薇水晶は荷物を両手にもったまま固まってしまった。 「ふふふ、どうしたのぉ?なにしてるのぉ~?はやく荷物を置いたらぁ?そのままじゃ重いでしょぉ」 「は、ハイ!!」 水銀燈の笑い声まじりの言葉に薔薇水晶は慌てて足を進めるが、両手に重い荷物と、おまけに背中には大きな リュックサックまで背負っている。バランスを崩した薔薇水晶は大きくよろけた。 「あっ、危ないわねぇ~。大丈夫ぅ?」 窓際で座っていた水銀燈はとっさに薔薇水晶を前から抱きしめるかたちで受け止めた。細く長い銀色の髪が 薔薇水晶の頬に触れる。その感触と抱きしめられ目の前から聞こえる水銀燈の声に閉じていた目を開けると、 そこにはやや心配そうな目がまぶたのすぐ近くにあった。スルリと伸びた形のよい鼻筋、小さな薄紅色の唇、 そこから覗く白い歯、水銀燈の顔が互いの息が感じられる距離にある。それを確認すると薔薇水晶の頬は 一気に熱気を帯びて赤く染まっていった。 うつむき、頬をそめた薔薇水晶の顔を覗き込むように見た水銀燈はクスッと笑う。 「どうしたのぉ、黙っちゃってぇ~」 「…ふぅ、んん…」 水銀燈の声に薔薇水晶は言葉にならない返答をしてしまう。それを聞いた水銀燈は 同じようにクスリと笑いながら薔薇水晶の前髪を優しく人差し指ですくうようになでる。 「ふふふ、テレ屋さんなのねぇ~、可愛い子。ふふふ」 「…あ、あぅ……」 またもや返答に困る薔薇水晶から手を離した水銀燈は床に落ちたスポーツバックを手にし、 2つ並べられているベッドの脇に置いた。 「ここが私と貴女のベッドよぉ~。ちょっと近いけど我慢してねぇ~。それからトイレと お風呂はこっちの部屋にあるわぁ。冷蔵庫はここ、小さいけどキッチンもあるからぁ~ 簡単なお料理もできるわよぉ」 水銀燈が部屋の案内をしている間中、ずっと後ろについて廻る薔薇水晶は先ほどの恥ずかしさに 終始うつむきかげんになっていた。 それに気付いているのか、いないのか?とにかく水銀燈は手短に説明し終えるとニコリと笑いながら 薔薇水晶に向き合う。 「私達3年生はこのあと学年集会があるのよねぇ~、だから少し席を外させてもらうけどぉ、何か 質問はあるかしら?」 「あっ……い、いえ………あ、あの…先輩は、その…す、好きな食べ物は何んですか?」 水銀燈の言った質問の意味とはあまりにも場違いな質問をしてしまった薔薇水晶は先ほどから染まっている 頬をより赤くしてその場でモジモジと戸惑いを見せた。 …あぁ、なんてバカな質問をしたんだろう? 水銀燈先輩はきっと呆れているに違いないわ…… そんなことを思っていると一呼吸おいてクスッと小さな笑みとともに水銀燈の声が聞こえる。 「ふふ、そうねぇ~。別に嫌いな物はないから、何でも好きよぉ~、椎と言えばヤクルトみたいな、 乳酸菌が入った飲み物が好きねぇ~。あれ、子供っぽくて何だか変かなぁ?」 「…い、いえ、そんなこと無いです。わ、私も大好きです…」 「そう、それじゃ良かったわぁ~。今夜にでも一緒に飲みましょ~、それじゃまた後でねぇ~」 「…は、はい……」 薔薇水晶の場違いな質問に笑顔で答えた水銀燈は軽く手を振りながら長い銀色の髪をサラリとなびかせながら ドアを開けて出て行った。 「…ふぅ~~~………」 その後ろ姿を見送った薔薇水晶は大きく息をつくと、そのままベッドに腰を下ろす。 …あぁ、なんだか綺麗で優しい先輩でよかった……でもでも、どうして私はあんな変なことを聞いちゃったんだろう? 変な子と思われていないかなぁ~~? 腰掛けたままゴロリとベッドに横たわった薔薇水晶の脳裏には水銀燈の笑顔と声が繰り返し思い出されていた。 そして抱きしめられた時に感じた肌の温もりに15歳の胸は小さな鼓動を確かに感じ取っていた。 その日の昼食時、食堂でバターを練りこまれたロールパンとパスタを持った薔薇水晶を呼ぶ声が聞こえた。 「ねぇ、ねぇ、私だよ、薔薇水晶。こっちの席が空いてるよ、一緒に食べよう」 壁に面した4人掛けのテーブルで1人の少女が手をふっている。薔薇水晶と同じ1年生で313号室に入った 桑田由奈である。薔薇水晶も由奈に手を振ると彼女のテーブルに腰を下ろす。 「ねぇ、薔薇水晶の先輩ってどんな人だったの?」 「う、うん。綺麗な先輩さんだよ…」 「へぇ~いいなぁ~。私なんか暗~い人だったよ~、ところで名前は何て言う人なの?」 「…えぇ~っと、名前は…水銀燈って人だよ」 「えぇ~、水銀燈って、あの水銀燈??」 「えっ?由奈ちゃん…先輩のこと知ってるの?」 「知ってるも何も、水銀燈先輩ってあのメルクール財閥のお嬢様よ、知らなかったのは薔薇水晶 だけじゃないの~?」 「えぇ~~っ、そ、そうだったんだ……」 由奈の言葉に思わず食べかけのロールパンを落としそうになった。 メルクール財閥と言えばこの国を代表する巨大複合企業。いろんな分野で世界シェアNO1をいくつも持ち、 あらゆる場面で世界をリードし、各国の政治家や王族などに太いパイプをもつコングロマリットカンパニーである。 そんな雲の上に位置する人の親族、それも現会長の娘と同じ部屋で過ごすと知った薔薇水晶は驚き以上に何やら 水銀燈に対してより強い憧れを抱いた。 そしてその憧れが恋に移行するのに大した時間はかからなかった。 午後から始まった授業も教師の言葉などたいして耳に入らず、思い出すのは今日会ったばかりの2歳年上の先輩の 顔ばかり。転びそうになって抱きしめられた感触が蘇るたびに薔薇水晶の体は熱気を帯びたように火照ってくる。 それは顔色にも表れているようで由奈が心配し、熱でもあるのかと薔薇水晶に保健室へ行こうと声をかけた。 その頃、保健室では白衣にかかった艶のある長い黒髪の女性がイスに座ったまま足を組みなおしている。 その足の動きに短いタイトスカートから大人の女性がもつ色気がチラリと感じられた。 「で、水銀燈が世話をする子ってどんな子なの?」 「可愛い子よぉ~、なんだかモジモジしてて凄くテレていたわぁ~」 「へぇ~、入学した頃の水銀燈みたいな子って訳ね、私も見てみたいわね」 「私ってそんなにモジモジしてたかしらぁ?」 「してたわよ、だって私が水銀燈の世話をしたんだから間違いないわ、あの頃の水銀燈は可愛いかったわ」 白衣を着た黒髪の女医がイタズラっぽく笑いながら言うと、水銀燈は少し頬をプクッと膨らませた。 「なぁに、じゃ今の私は可愛くないのぉ?」 「そんなことないわよ、十分可愛いわよ。ふふ、こんなに頬を膨らませちゃって、まだまだ水銀燈は 子供ね、さぁ、こっちにいらっしゃい」 「あぁ、めぐぅ…」 「ふふ、今はめぐ先生でしょ」 めぐと呼ばれた女医は水銀燈の腰に手を回すと、そっと引き寄せる。 水銀燈も自然と力を抜いてめぐの行為に目を閉じる。 「あぁ、めぐぅ」 「だから今は先生でしょ」 そう言いながら腰に回した手が静かに水銀燈のスカートに伸びていく。形のいいヒップを撫でるように スカートを捲り上げると、水銀燈は「はぁ」と小さく息をはく。 「あぁ、めぐぅ、わ、私ぃ…」 「いいのよ、水銀燈。貴女は本当に綺麗だわ」 いつの間にかめぐの左手は水銀燈のヒップから白いパンティーを膝の辺りまで脱がしていた。そして右手は くびれた細い腹部から背中に回し、セーラー服の中に滑り込ませた。そしてそのまま服の中でブラのフック を外すと、クスリと小さく笑いながら水銀燈のはちきれんばかりの乳房を優しく愛撫する。 ピンっとたったピンク色の乳首を少し乱暴気味に摘むと、今まで声を殺していた水銀燈から歓喜にも似た 吐息が声と共に漏れ出した。 「ダメよ水銀燈。ここはまだ昼間の学校。誰かに聞かれちゃうわ、ふふふ」 そう言いながらめぐの右手はヒップからじっとりと湿った前部に移動し、一番敏感な部分を刺激した。 「んんん!! あぁ、あぁ」 指の動きに水銀燈は肩で息をし、なんども声を殺そうと努力する。そんな歓喜と苦悶交じりの表情を めぐは楽しんでいるかのようにも見える。愛撫が進んでいくと、たまりかねた水銀燈の膝がガクガクと 快楽によって笑い出す。その時、保健室のドアをコンコンとノックする音が2人の耳に入った。 「はい、誰?」 「1年生の桑田です、失礼します」 由奈が保健室のドアを開けるとそこにはノートを持った水銀燈がめぐに小さくペコリと 頭を下げているところだった。 「それじゃ柿崎先生ぇ、また後ほど」 そう言うと、水銀燈はドアの前で立っている由奈にチラッと視線を向ける。整った顔立ちに ミステリアスな銀髪が歩を進めるたびに肩の辺りで左右にゆれている。思わずハッと息を呑む 容姿に由奈は慌てて水銀燈に頭を下げた。 その下げた視線の中を横切っていく水銀燈の足がとまる。 「あら、貴女は薔薇水晶ねぇ、どうしたのぉ?どこか具合でも悪いのぉ?」 「…あっ…す、水銀燈先輩……あ、あの~…えっと………」 由奈の後ろにいた薔薇水晶を見つけた水銀燈は足を止めて声を掛けた。 まさか保健室で水銀燈と出会うとは思いもしなかった薔薇水晶はただモジモジとするだけ。 「あ、あの~。先輩、なんだか薔薇水晶が熱っぽいみたいなので保健室に連れてきました」 「貴女の名前は?」 「あっ、由奈。桑田由奈です」 「そう、桑田さんね、ありがと。で、薔薇水晶は大丈夫なのぉ?」 由奈に笑顔でお礼を言った水銀燈はモジモジとうつむいている薔薇水晶のひたいにそっと手を当てる。 前髪をかきわけ、ひたいに感じる水銀燈に薔薇水晶の体はよけいに火照りだす。 「あらぁ、本当ねぇ。なんだか熱っぽいわねぇ~。柿崎先生に見てもらうといいわぁ」 「…は、はい」 「じゃ、私は用事があるから行くわぁ。あっ、それから桑田さん、私のルームメイトを連れてきて くれて感謝してるわぁ、本当にありがとうね」 「は、はい、そ、そんな、当たり前のことをしたまでです」 「偉いわぁ。それじゃ、また後でね。それと薔薇水晶は無理しちゃぁダメよぉ」 「…は、はい…す、水銀燈先輩……」 手を振り去っていく水銀燈に火照った薔薇水晶はどこかポワ~ンとした目つきで手を振り替えしていた。 そんな薔薇水晶の表情をめぐはニヤリと笑いながら見ている。 「さぁ、薔薇水晶さんね。こっちにいらっしゃい、熱を計るわよ」 「…は、はい」 「それから由奈さん、あとは大丈夫だから教室に戻ってもいいわよ。もうすぐ授業始まるでしょ」 「は、はい。それじゃ、失礼しました。 あっ、薔薇水晶、また後でね、バイバイ」 「…ありがと……バイバイ」 由奈が出ていくと薔薇水晶は脇の下に体温計を挟む。しばらくするとピピピっと電子音が鳴り、 体温計をめぐに渡した。 「う~ん、別に熱はないようね、薔薇水晶ちゃん、熱っぽい他にどこか痛むところとかあるの?」 「……い、いえ、別にないです」 熱が無いのに授業を受けずに保健室に来ている薔薇水晶は少しバツの悪い顔をして下を向いていた。 おそらくサボリと思われたのかと考えているようだ。そんな表情を見ためぐは薔薇水晶の心境を察し、 まるで友達に話しかけるようないたって軽い語りで喋りだした。 「大丈夫だよ薔薇水晶ちゃん。きっとアレだよ。ほら、この学園って全寮制だし、入学したてで心境的に 疲れたんだね。今は少し眠ったら良くなるよ」 「……えっ、あ、あの…ありがとうございます。で、でも私…」 「いいのよ、保健室はいろんな使い方があるんだから、ほら、そこのベッドで横になるといいわ」 そう言うとめぐはベッドの布団をめくり、枕を軽くポンポンと叩いてみせた。 薔薇水晶はそんなめぐの言葉に少しニコリとしながらも遠慮がちに静かにベッドに体を横たえる。 「担任には言っておくから今は休むといいわ、それから悪いんだけど、これから会議が1時間ほど あるのよね。何かあったらそこ、その壁にかかっている電話で01番を押すと職員室にかかるからお願いね」 「…はい、わ、解りました」 めぐに布団を掛けてもらった薔薇水晶は小さくコクリとうなずいた。 めぐはそんな薔薇水晶の笑顔を確かめるとなにやら机の上に広げられていた書類を手にし、保健室を出て行った。 誰もいなくなった保健室のベッドの上。授業中なのか廊下からは遠ざかっていくめぐの 足音だけが微かに聞こえるだけ。それを聞きながら薔薇水晶は2回ほど寝返りをうつ。 ……あぁ、柿崎先生はああ言ってくれたけど、私のことサボリって思っているのかな……? でも、また水銀燈先輩に触れられたよ……あぁ、先輩…水銀燈先輩……… 水銀燈のことを思い出すと引いていた熱気にも似た感情が薔薇水晶の胸を高鳴らせる。 両手でグイッと掛け布団を引き、顔を隠すようにした薔薇水晶はいろんなことを考え出した。 ……ど、どうしちゃったんだろ私…? 水銀燈先輩のことを考えただけでこんなにも恥ずかしい… そ、それに、何だか、何だか………なんだかHな気分になっちゃうよ……い、いけないよ、こんなの 変だよ……だって私と水銀燈先輩は、女同士なんだもん……ダメだよ、こんなの………… ダメだと思う気持ちが持ち上がるほど淫靡な気持ちが強くなる。そんな相反する心境の中、いつの 間にか布団をつかんでいた手が自らスカートの中に滑り込んでいく。 ……あぁ、ダメっ! そんなのイケナイんだもん……あぁ、ああっ 始めは太ももを撫でていた指先がパンティーの隙間から忍び込み、じとっと湿った箇所を撫でていく。 その中でも一番敏感に反応する小さな突起を中指が触れると真っ赤な顔をした薔薇水晶の体はベッドの 上でクの字に曲がった。 「はぁ、はぁ…あぁ、先輩、水銀燈先輩…大好き、大好き」 もう押し殺していた熱い吐息は言葉となり、自ら慰めている行為に恥じらいも感じられずただただ押し寄せては 駆け巡る快楽に身を任せていた。 「んっ……んんんっっ!! あっああぁ…………はぁはぁはぁ……」 ピンと伸びたつま先から力が抜けていく。しばらくまどろみにも似た感覚のまま薔薇水晶は保健室の ベッドの上で深呼吸に近い息をしていた。 ……あぁ、私、こんな所で、しちゃうなんて………私、水銀燈先輩のことを考えたらオカシクなっちゃうよ… ベッドの中で乱れたスカートを直しながら薔薇水晶は軽い罪悪感を覚えた。 それは同じ女性である水銀燈に大してもった淫らな妄想、それだけではなく感情を抑えきれず学校内の 保健室で自慰行為に及んでしまったことに対して背徳行為すら感じたのだ。 ……もうダメっ、こんなのはこれっきりにしよう そう考えた薔薇水晶を強く目を閉じた。物音が聞こえない静かな保健室、一気に火照りが体から抜けていった ためなのか閉じたまぶたからいつの間にか軽い寝息を立てて薔薇水晶は眠りだした。 ……あれ? 知らないうちに眠っていた薔薇水晶はひたいに誰かの手を感じて目を覚ました。 「あらぁ、目が覚めたのぉ?ゴメンねぇ~。どぉ?熱は下がったぁ?」 「…あぁ、せ、先輩!」 そこには薔薇水晶のひたいに手を当てている水銀燈の姿があった。 イケナイはずと決めていた薔薇水晶の胸が水銀燈の顔を見た瞬間、ドックンと大きな音を立てた。 「あらぁ?まだ熱が下がってないのぉ? お顔が赤いわよぉ」 「そ、そんなこと無いです…ね、熱は下がりました……だ、大丈夫です」 「そぉ? あんまり無理しちゃぁダメよぉ」 突然の水銀燈に頬を染めた薔薇水晶。彼女を見下ろす姿勢で水銀燈はひたいに置いた 手をそっと動かして薔薇水晶の髪を優しく撫でた。 「…せ、先輩?」 「貴女の髪って子供みたいにサラサラしてるのねぇ~」 「…せ、先輩の…か、髪も凄く綺麗……」 「ふふ、そう言ってもらえたら私も嬉しいわぁ」 つい今しがた水銀燈を想い描き、自ら慰めた体がうずく。見上げる視線は優しくも淫靡な笑みを 浮かべる瞳の奥へと吸い込まれていきそうに感じられる。 このまま時間がずっと水銀燈を感じていたい。そう思った時、保健室に設置されているスピーカー からチャイムが鳴り出す。その音が合図のように静まり返っていた廊下が途端に騒がしくなる。 「ふふ、5時間目が終わったようねぇ、柿崎先生ももうすぐ帰ってくると思うから、まだ熱っぽいなら 先生に言って薬をもらうといいわよぉ」 「は、はい……ありがとうございます…水銀燈先輩」 薔薇水晶のお礼を聞きながら水銀燈はクスッと笑い。ドアのほうへと足を進めた。 手がドアを開けようとした時、布団を持ち上げてベッドから起き上がった薔薇水晶はためらいがちに声をかけた。 「…あ、あの先輩?」 「ん? なぁに?」 「……あ、あの…その……授業中なのにどうして、ほ、保健室へ?」 ドアを半分ほど開けた水銀燈はその問いかけに今度は声に出して小さく笑みを浮かべる。 「ふふふ、だって貴女は私のルームメイトなのよぉ、心配するのはあたりまえでしょぉ?」 息が止まる感覚とはこういうのを言うのだろうか? 水銀燈の言葉に文字通り薔薇水晶はハッと 息を呑み、そのまま力なく摘んでいた布団はフサッとベッドに落ちていった。 胸を打つ激しい動悸を確かめるように薔薇水晶は小さな手を胸の前で静かに組んだ。 「じゃ、後で部屋でね。ふふふ」 「…は、はい」 保健室のドアがピシャリと乾いた音を立てて閉まってからも暫くは動けない薔薇水晶がいた。 1時間ほど保健室で休んでいた薔薇水晶は少しバツの悪そうな顔つきで教室に戻る。 そんな薔薇水晶を見つけた由奈がすぐに声を掛けてくる。 「大丈夫?」 「えっ…う、うん。もう大丈夫だよ…えへへ」 目を細めテレ笑いをする薔薇水晶の表情を見ると、体調も元に戻ったように感じられた。 2人が当たり障りの無い会話を2~3話していると、もう次のチャイムが鳴り、授業が始まった。 教師が苦手な数式を黒板に書くさいに発するコッコッと言う音がいつもなら睡魔を連れてくる呪文のように も感じらる薔薇水晶だが、今回は教科書に目を配るふりをしてずっと水銀燈のことを考えていた。 ……あぁ、どうしよう?今夜からずっと先輩と同じ部屋、な、何を話したらいいのかな? また変なこと聞いちゃったらどうしよう?また笑われちゃうよ~ そんな心配をしている時に限って授業はあっと言う間に終わっていく。ガヤガヤと雑談が花咲く放課後、 由奈は薔薇水晶に部活動の見学に行こうと誘い、2人で何箇所か見てまわった。 最後の演劇部の稽古を見終わったのは夕暮れも過ぎ、群青色になった空には星が数えれるくらいになっていた。 「お腹すいたね、薔薇水晶」 「…うん、何か食べよう。わ、私、お腹ペコペコ…」 全寮制の薔薇乙女学園は部活動や生徒役員をしている生徒のため食堂は夜9時まで利用可能であり、広大な敷地を 有し、山の中腹にあるため日用雑貨なども食堂の横にある販売部で購入できる。販売部と言っても取り扱う品物は 普通のコンビニエンスストアより多い。お嬢様学園を名高いだけあり、ボールペン1つをとってもブランド品など が目に付く。そこで夕食を終えた薔薇水晶と由奈はチョコを買って部屋に戻ることにした。 ガチャ。 ドアを開け、部屋に入るとハンガーにかかっている水銀燈の制服が目に入った。 ……あっ、先輩。もう帰ってきていたんだ…… そう思ってゆっくりとドアを閉めているとキッチンのほうから水銀燈に声が聞こえてきた。 「おかえりぃ~。食事は済ませてきたのぉ?」 「は、はい……ピ、ピラフと……コ、コンソメスープを食べました…」 「そぉ、美味しかったぁ?」 「…は、はい」 声がするキッチンの方へ行くと、イスに座った水銀燈はなにやらスケッチをしている。足を組み、じっと 見つめる先にはテーブルの上に置かれた木の人形が祈りをささげているポーズをとっている。 「…せ、先輩…絵が上手ですね」 「そぉ? お世辞でもそう言ってもらえると嬉しいわぁ」 「…お、お世辞じゃないです。ほ、本当に…上手だと思います」 薔薇水晶が言ったセリフはお世辞などではなかった。美術に関しては素人同然の目から見ても水銀燈 の書く絵は素晴らしいものに映った。 しかしその絵を水銀燈は気に入らないかのように少し大きめのため息を付く。 「どうもダメだわぁ~」 「…えっ、ダ、ダメなんですか? 凄く…綺麗だと思います」 「ん~、でもねぇ。絵に動きが感じられないわぁ。やっぱり人形より本物の人をデッサンしたほうが リアリティを感じられるわぁ~。 あっ、もし良かったら私の絵のモデルになってもらえるぅ?」 「…わ、私がですか?」 「そうよぉ、この部屋に他に誰がいるのぉ?」 「…えっ、で、でも……」 「大丈夫よぉ、そんなに疲れるポーズなんて取らせないからぁ。ね、こっちに来て頂戴」 「…は、はい…先輩」 手招きする水銀燈の前に行くと、楽な姿勢でイスに座るよう言われる。薔薇水晶はセーラー服の スカートの上に両手を置く、いたってオーソドックスな姿勢で座る。 「それでいいわぁ、じゃ、あまり動かないでねぇ」 「…はい」 しばらく水銀燈はじっと薔薇水晶を見つめる。壁にかけられた時計の秒針がチクタクチクタクと 小刻みな音を告げる2人だけの殺風景なキッチン。 さきほどから感じる水銀燈の視線に薔薇水晶の心は激しく揺さぶられていく。 「ねぇ、ちょっと顎を上げてくれるぅ?」 「…こ、こうですか?」 「ん~? もうちょっとかなぁ?」 「…こ、こんな…感じですか?」 「うぅん、こんな感じよぉ」 ペンを置いた水銀燈はイスから立つと薔薇水晶の下顎にそっと指をもっていく。そしてゆっくりと顔を上げていく。 それはまるで今からキスをするかのようにも見て取れる。薔薇水晶の顔がゆっくりと上がるたびに髪がパラリと はだけて後ろに流れていく。それをもう片方の手でなぞる水銀燈の指先が耳たぶに触れたとたん薔薇水晶の体は ビクンッと甘い感触に震えた。 「ふふ、どうしたのぉ、うつむいちゃってぇ? 顔を上げないとポーズが決まらないわよぉ?」 「……ん…うぅ…」 水銀燈に耳たぶを触られた薔薇水晶は真っ赤になった顔を見られたくなかったのか、肩を すぼめてうつむいてしまった。 そんな薔薇水晶の心境を察した水銀燈は少しイタズラっぽくニヤリと笑うと、耳たぶに触れて いる指先を首筋へと移動させる。 「…ひゃっ! うぅ……」 微妙に指先の一部が肌に触れながら薔薇水晶の首筋にある産毛をなでていく。 その感触にすくめていた肩をよりちぢ込ませた薔薇水晶から甘い声がもれる。 クスッ。 それを耳にした水銀燈は首筋をはわせていた指を持ち上げ、髪に隠くれていた 薔薇水晶の耳をあらわにする。そしてその耳に顔を近づけて囁く。 「ふふ、耳まで真っ赤になってるわねぇ、こういうのってキライぃ?」 「……ふうぅ……うぅ…ん」 目を閉じた薔薇水晶は耳にかかる声と甘い息にまともな返答は出来ない。 ただただ水銀燈の指の動き、声、息が薔薇水晶の体を支配していく。 「ふふふ、ほぉんと可愛い子ね。 ふぅ~~~」 「あっ……あぁぁ……」 力を入れて体を強張らせていた薔薇水晶の耳に意図した息を送り込む。 その瞬間、薔薇水晶の口からは明らかに女である声が漏れ、一気に体の力が抜けていく のが感じられた。 ふふふ、もう感じてきちゃったみたいねぇ~~、可愛いわぁ よりイタズラな笑みを浮かべた水銀燈は真っ赤に染まった頬に軽く唇を当てる。 チュッ。 水銀燈の唇に火照った頬の熱が伝わると小さな音がした。 その音の意味を薔薇水晶は頭で理解するよりも早く体が反応をしめした。 「……ふうぅぅん…あぁ」 腰から下にかけて無くってしまったかのように力が入らない。朝礼で襲われる貧血にも 似た白い世界に薔薇水晶の意識は飲み込まれていく。 パラリ。いつのまにか白いスカーフが薔薇水晶のセーラー服から音も無く床に落ちていた。 力が入らないはずなのに水銀燈の手が立つように力を入れると、自然と不思議な暗示にでも かかったのか、薔薇水晶は感覚すらおぼろな足でイスから立ち上がっていた。 「…あぁ……せ、先輩……うぅ…」 「いいのよぉ、そのまま力を抜いてていいのよぉ~うふふ」 イスから立ち上がった薔薇水晶だが、下半身に力が入らないため水銀燈にもたれ掛かる。 赤く火照った頬が水銀燈の豊満な胸の柔らかさを感じ取る。 そしてふれた顔のすぐ近くで水銀燈の色っぽくも怪しい声が聞こえた。 「こういうのってキライぃ?」 先ほどと同じ質問をする。 それに対して薔薇水晶は目を閉じたまま小さく首を横に振る。 「ふふ、じゃぁ私の事はスキぃ?」 「…あぁ……うぅ………す、スキです……お、お姉様……」 閉じてた目を開いた薔薇水晶は自然と溢れた涙でぼやける視界の中で優しい笑みを浮かべる水銀燈を 見上げ、吐息混じりに言った。 水銀燈のことを「先輩」ではなく「お姉様」と呼んでいる自分の言葉にすら気付かない薔薇水晶の感情は 甘く淫靡な水銀燈の笑みによって麻痺したかのようにも見える。 「私のことお姉様って呼んでくれるのぉ?」 「……は、はい…お、お姉様…」 「ふふ、嬉しいわぁ、貴女は本当に可愛い子ねぇ~」 水銀燈の両手は薔薇水晶の頬を包むように触れると、そのまま互いの顔を近づいていき、 2人のまぶたが触れそうな位置で唇は1つに重なる。 「ん、んんっ」 「…ん……ん~」 絡み合う舌からは、小さな子供が夢中でキャンディーをなめている時にも似た音が重なった唇から漏れ聴こえる。 2人の口内で互いの唾液が音を立てながら行き来するだびに薔薇水晶の頭の中は真っ白になっていく。 だがその反面、水銀燈のなめかわしい舌の動きを感じる毎に薔薇水晶の体は敏感にもなっていった。 小さく開いた2人の唇から混ざり合い、1つになった唾液の筋がツツーっと伸びて音も無く千切れる。 「…あぁ……お、お姉様……スキ…大好き」 「ほぉんと、いい子」 見つめた2人の唇がもう1度重なると、水銀燈は薔薇水晶の腰に手を回し、セーラー服を慣れた手つきで 脱がはじめた。 バサリと今度は音を立てて薔薇水晶の肌の温もりが残るセーラー服が床に落ちた。 そこにはキッチンの淡い照明器具の明かりに照らされた白い素肌が見えた。 その肌の上を水銀燈の指がブラのホックへと滑っていく。 「…あぁっ……あっ、う、うぅぅ…ん」 「ふふ、綺麗なお肌ぁ。ふふふ」 「あっ…あぁん……」 外されたブラの隙間から忍び寄った水銀燈の手は、乳房を這うように上っていくと、ツンッと硬くなった 小さなピンク色をした乳首に触れ、そのまま指先で弄ぶ。 その行為に今まで感じたことの無い感触が薔薇水晶の中で生まれつつあった。 「…あぁ……ダ…ダメ…うぅん…」 「あらぁ?ダメなのぉ? じゃ、止めようかなぁ~?ふふふ」 「えっ…?……あぁ、イ…イヤ……お姉様…」 「ふふ、どっちなのぉ?止めてほしいのぉ?それとも…ふふふ」 「あぁ…ほ、ほし………い…」 「ふふ、どっちなのぉ?」 「…あぁん……ほ、欲しいです…お姉様」 「素直ないい子ねぇ~。ねぇ、こっちにいらっしゃい」 水銀燈に身をゆだねた薔薇水晶は脱がされたセーラー服もそのままに手を引かれるまま隣の部屋へと行く。 そこは2つ並べられたベッドに各自2人分の机、それにベッド脇に小さなテーブルが1つ。 照明のスイッチが入っていないため、明かりは今までいたキッチンからの漏れた光とレースのカーテン越し に入ってくる月明かりが白いシーツをより浮かび上がらせている。 誘われるまま薔薇水晶はそのシーツの上で横になる。 「ほんとうに可愛いわぁ」 「…お、お姉様も…綺麗です…」 ほんのり零れた月明かりを背にする水銀燈は今まで以上に妖美な雰囲気をかもし出している。 まるでこの世のものとは思えない。そう思った薔薇水晶はシーツの冷たさも忘れて火照った体をもてます。 「…あぁ、お、お姉様……綺麗」 ほのかな明かりに浮かび上がった水銀燈はゆっくりとトレーナーを脱ぎ捨てていくと、薔薇水晶の目は 豊満であり形の良いバストに釘付けになる。 そんな薔薇水晶の幼さが垣間見える胸を水銀燈は焦らすようになぞり、クスッと笑いながら話しかけた。 「ねぇ、私の事をお姉様って呼ぶんだったらぁ、私は貴女の事なんて呼ぼうかしらぁ?」 「…えっ?…う、うぅ~ん……あぁ、あん…あぁん…うぅ」 水銀燈の指が乳房の周りをゆっくり円を書くように触れていくと、薔薇水晶は水銀燈の問いかけに開いた 口からは答えではなく、甘い吐息が零れる。 それを見ている水銀燈はクスクスと笑いながらじょじょに指先を乳房の上へと円を書きながら移動させる。 「ふふ、あっ、そうだぁ。薔薇水晶は中学の時に何て呼ばれていたのぉ?」 「…あぁん………ば、ばらしー…です…あん…」 指先の動きに合わせて零れるあえぎ声から自身の中学時代のあだ名を言う。それを聞いた水銀燈は先ほどより少し 大きな声でクスッと笑う。そして乳房の上へと達した指先で硬くなった乳首を摘み、そっと上へ引っ張り上げた。 「…あぁぁ、あぁん……お、お姉様…お姉様ぁぁ…」 ピクリと体を強張らせた薔薇水晶は涙でうるんだ瞳で水銀燈を見上げる。 クスクス。 笑みをこぼす水銀燈は引っ張っていた指を離すと、幼さが見える薔薇水晶の乳房は弾けるゼリーのように プルルっと震えて元に戻った。 「ふふふ、ばらしーって呼ばれていたのぉ? 可愛いぃ」 そう言うと、水銀燈は薔薇水晶の胸を今度は優しく撫でていき、唇を重ねた。 サラリとした長く柔らかい髪が薔薇水晶の顔を隠す。その隠された中で2人の吐息は 混ざり合い、絡んだ舌からは淫らな音が聞こえる。 「私、ばらしーの事…スキよぉ~」 「あぁ、お、お姉様ぁ……私も大好き………」 そう囁き終わった水銀燈の唇は硬くなった薔薇水晶の乳首にそっとキスをすると、そのまま舌の上で 転がす。 「あぁあああんっ…あぁ………」 乳首を舌で愛撫されることなど生まれて初めての薔薇水晶は思わず身をよじりながら歓喜にも似た甘い声を出した。 水銀燈はその声を聞くと、指をゆっくり移動させ、スカートにたどり着く。 そしてスカートの中に手を滑り込ませていき、柔らかく弾力のあるふとももを下から擦りあげていく。 「あッ!!」 指先がパンティー越しに敏感な部分に触れると薔薇水晶の声は弾けた。 そこで水銀燈の指はいったん敏感な部分から離れる。 「しーっ、あまり大きな声を出しちゃうと他人に聞かれちゃうわよぉ~」 「…はぁはぁ……あぁ…お、お姉様…ご、ごめんなさい………」 「ふふ、ほぉんと、素直でいい子ねぇ~。でも窓を閉めたら大丈夫よぉ」 「……ほ、本当に?」 「えぇ、この寮は建てつけは古いけどぉ、防音と空調は完璧なんだからぁ」 そう言うと水銀燈は軽く薔薇水晶のひたいにキスをしてベッドから手を伸ばし、20cmほど開いていた 窓をピシャリと閉めた。その途端に夜のひんやりとした空気が止まり、2人のいるベッドの上を中心に甘く濃厚な 香りが広がりだす。 「大好きよ、私のばらしー」 「あぁ、お、お姉様ぁ……あっ、あぁぁ…あぁん…」 水銀燈は素早く指先を先ほど触っていたパンティーに戻すと、そのままパンティーの上からでも確認できるほど 湿り、かたち作られている秘部を愛撫していく。 筋の上を何度も往復する指の動きに薔薇水晶の呼吸は荒く、口ではなく肩で大きく快感を飲み込み、甘い吐息を 吐き出していた。 「ふふふ、体も素直でいい子ねぇ~。ほぉら、もうこんなになっちゃってるわよぉ~」 「…あぁん、お、お姉様ぁ……あぁん、あんあん……は、恥ずかしいぃ………」 いつの間にかスカートは下ろされ、グッショリと濡らし秘部を浮かび上がらせているパンティー1枚の薔薇水晶。 その最後の衣類に手をかけた水銀燈は思いもしないものを見つけてついつい吹き出してしまった。 「あらぁ?これなぁに? うふふふ…あはははは~~、かぁわいい~~」 「…あっ……こ、これは………イ、イヤァ……恥ずかしいよぉ~」 脱がそうとしたパンティーにはグッショリと愛液で濡れたウサギのプリントがあった。 まるで幼い子供がはくようなパンティーを身に着けていた薔薇水晶に水銀燈は笑いながら話す。 「可愛いわねぇ~ばらしー。ウサギが好きなのぉ?」 「…うぅ……う、うん、…ウサギさん……好きです…うっ、うっ…うぇぇ~」 こんな展開になろうとは夢にも思っていなかった薔薇水晶はお気に入りのウサギのパンティーを履いていた ことをすっかり忘れていたのだ。高校生にもなってウサギのパンティーを履いていることに恥ずかしさと、 水銀燈に笑われた事に対する恥ずかしさが薔薇水晶の瞳を潤ませる。 「泣くことないわよぉ~、だってばらしーはこんなにも可愛いんだからぁ~」 「…えっ、えっ…えっぐ……ほ、本当ですかぁ……?」 「えぇ、本当よぉ」 「…お、お姉様……本当の本当に…?」 「えぇ、本当の本当よぉ」 「…本当の本当の………本当に?」 「もぉ、本当の本当の本当に可愛いわよぉ~」 グスンと鼻を鳴らす薔薇水晶から水銀燈は一気にパンティーを剥ぎ取る。 そしてあらわになった部分に指を這わしていくと、薔薇水晶の愛液は指先にまとわり付くほど溢れてくる。 ふふふ、もうメチャクチャにしたいほど可愛いわぁ~ ザザ~。春先の一際強く冷たい夜風が木々を揺らし、窓をたたいて行く。気温は恐らく10度に達していないだろう。 そんな夜、水銀燈が振る指のタクトに薔薇水晶は白いシーツを波打たせながら甘く熱い淫靡な吐息の演奏を 繰り返し繰り返し何度も奏でて夜は深けていった。 「……んん?………ん?………」 布団をすっぽりとかぶった薔薇水晶はレースのカーテンから微かに差し込む 淡い陽光と、窓の外で囀る小鳥の声で目がさめた。 …あれ? 当初は見慣れない部屋に少し困惑した薔薇水晶だが、すぐに昨日から寮生活が始まった 事を思い出す。 …う、うわぁ~! それと同時に昨夜、生まれて初めて性的絶頂を覚えた事が脳裏に蘇ると、薔薇水晶は 顔を真っ赤にして被っていた布団の中に潜り込み、隠れてしまった。 …あぁ…あぁ、ど、どうしよう? わ、私……お姉様と…… もちろん布団の中に隠れたとは言え、身に着けている衣類はなく淫らに波打つシーツと 乱れた頭髪だけが昨夜の行為をまざまざと物語っている。 水銀燈の甘い息、言葉。そして女性同士での快楽という名の背徳行為に嫌悪感を覚えるどころか、 反対に薔薇水晶の体の奥はじわりと熱くなっていく。 …あぁ、お、お姉様………あっ、そうだ。 お姉様はどこ? まるで周りを警戒する草食動物のようにヒョコっと布団から顔だけを出した薔薇水晶はキョロキョロ と部屋を見渡し、水銀燈の姿を確かめようとする。 しかしそこには水銀燈の姿どころか、気配すら感じられない。 となりのキッチンからも物音すら聞こえない。しばらく耳をすましていた薔薇水晶はモソっと上半身を 持ち上げてみた。 「あっ…手紙だ」 2つ並んでいるベッドの真ん中には目覚まし時計と卓上カレンダーが置かれている小さなテーブルが 1つ設置されている。その目覚まし時計の立てかけるようにして置かれた手紙に目を通す。 …ふん~~、今日はお休みなのにお姉様は生徒会なんだ……た、大変なんだなぁ…… 生徒会長である水銀燈は新入生に合わせて休みを返上し、生徒役員会議を行っているむねを手紙に 書いていた。それを読み進め、最後の文章を見た薔薇水晶は目を閉じて、手紙をギュッと胸に当てた。 ~~早く会議が終わったら一緒にお昼を食べましょう。 私の可愛いばらしーへ 水銀燈より~~ …あぁ、お姉様………大好き… しばらく手紙を抱きしめていた薔薇水晶はお昼までの時間を見るために視線を時計に向ける。 これと言って特徴の無いデジタル時計が示す時刻は朝の10時過ぎであった。 …12時まで2時間くらいあるよ……そうだ、お掃除しようかな… そう思い自分がいるベッドを見てみる。薔薇水晶がいる箇所を拠点に乱れたシーツがいく筋もの 波を作り、1つのベッドに2つの枕。そのうちの1つ、水銀燈が使っていた枕に長い銀色の髪が キラリと輝いていた。 「お、お姉様の…」 水銀燈の髪の毛を見ていると、先ほど感じた感覚が薔薇水晶の体に蘇る。 ドクンと鼓動する心音と共にジワリと熱い感情が下半身を襲う。 …あぁ、わ、私、こんなにも濡れちゃってる……… 不意に湧き出た感情を薔薇水晶の指は確かめるように探り当てようとする。そのたびに描かれていくのは 昨夜の行為をなぞる記憶。 水銀燈に摘まれた乳首の感触を自らの指で呼び起こす。 「あぁ、あぁ……い、いい…」 小さな唇から発せられる吐息。その息使いに呼応して、より敏感な部分を刺激していき、自然と足が左右に 広がっていった。 「うぅん……あぁ、あぁ…」 指が敏感な部分をなぞっていく毎に粘着質な音が小さく聞こえ、薔薇水晶の頭の中は色彩を失っていく。 断続的に女の色をふんだんに含んだ吐息をつきながら自身の腕の動き、指の速度を真っ赤な顔をした 薔薇水晶は見つめている。 …あぁ、だ、ダメだよ……お姉様の事を考えたら……私、Hな子になっちゃうよぉ…… 「あっ!! あぁぁん……あぁぁッ!!」 なぞっていた指先が静かに濡れた中に入りだすと、思わず布団の中で押し殺そうにも押さえ切れない 声が出てしまう。 ゆっくり、慎重に進入していく自身の指先に身もだえ、荒くなる吐息。 そんな頃、生徒役員会議を終えた水銀燈は生徒会室から寮に戻る途中、2階の踊り場で後ろから 声を掛けられた。 「こ、こんにちは。水銀燈先輩」 その声に足を止め、振り返る。正午近い太陽は校舎を照らしている。それは明るい日差しだが、 窓や清掃道具入れのロッカーの影が伸びて、光と影を明白に分けている。そのちょうど影にあたる 所に1人の少女が立っていた。 あら? この子は昨日ばらしーと一緒にいた子だわぁ。確か名前は…… 「こんにちは、私は桑田由奈です」 水銀燈に頭を下げながら由奈は影の部分から1歩ほど前に出てると、ニコッと明るい表情を見せた。
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[制服]イリス #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 近距離 [制服]イリス 初期値 攻 8000 防 12000 愛情MAX 攻 ? 防 ? 必要P 22→33→44 成長MAX 7000 スキル1 青春の罠 効果 敵前列全体を攻撃して誘い、自身の防御力をアップする 名前 コメント
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「ただいまなのだわ」 重く大きなスーパーの袋を床に置きながら言うと奥からは水銀燈ではなく 懐かしい声が返ってきた。 「お帰りですぅ~真紅ぅ~!」 「お帰りなさいかしらッ!」 突然の声に驚く真紅だがすぐに表情は大きな喜びとなる。 「寂しいだろうと思ってワザワザ来てやったですぅ~ ありがたく思いやがれですぅ」 「もう、真紅に会いたかったかしら~」 翠星石と金糸雀は真紅に飛びつき3人は抱き合い再会を喜んだ。 「来るなら連絡しなさい。もう、驚いたのだわ」 「驚かすために黙って来たのかしらぁ」 「来たのは2人だけなの?」 「そうですぅ、薔薇水晶は受験勉強中ですぅ、ラプラスと同じ有栖川を 狙ってるですぅ」 「チビ苺は成績がヤバイから補習で今日も明日も学校かしらぁ」 「蒼星石は東京に行くならお金も必要とか言い出してバイト中ですぅ」 「ウフフフフ、今夜はパーティよぉ真紅ぅ」 タバコを咥えた水銀燈は笑顔でビールをすでに飲み始めていた。 真紅、水銀燈、翠星石、金糸雀の奇妙な一夏の共同生活が始まった。 その夜は再会の喜びの後、すぐに4人は音楽の話になっていた。 翠星石達の高校生活は相変わらず音楽漬けであり、一時薔薇乙女を解散し ライブに出ない時間を練習にもっていき、かなりのオリジナル曲を作っていた。 それが入ったテープをデッキに入れる。 飛び跳ねるような軽快なロック、重く圧し掛かるような攻撃的な曲、深い 悲しみが叫ぶようなバラード、恋にトキメクような可愛いメロディー。 「どうかしら?カナ達も曲をたくさん作っているかしらッ」 「へぇ~、ヤルじゃないィ~。さっきの曲に私が作ったぁフレーズを 入れると面白いかもぉ~」 テープを巻き戻すと水銀燈が曲に合わせて東京に来て間もない頃に 浮かんだフレーズを合わせていく。 「うわぁ~、イイかしらぁ~!この感じ、最高かしら~」 「えぇ、これはいいのだわ。この感じで他のもヤッてみるのだわ」 4人にとって音楽、ロックは離れていた時間を一瞬にして別れる以前に 巻き戻していた。いつものスタジオ、音楽準備室、時には翠星石の家で の会話がそのまま東京の真紅と水銀燈の部屋で始まり時間も忘れてその夜 はいつまでも冗談と笑い声が部屋を満たしていた。 * 珍しく水銀燈は朝早く目を覚ましリビングで寝ている翠星石と金糸雀を起こす。 「今日はァ、特別にぃ。私の職場に連れて行ってあげるわぁ~」 「真紅も行くかしら?」 「真紅はゆっくり休ませてあげなさァい。今日は久しぶりのバイト 休みなんだからぁ~。さぁ行くわよぉ」 「水銀燈の職場ってドコで何をヤッてるですぅ?」 「イイからぁ~来てのお楽しみよォ~。興奮するわよ~」 真紅は久しぶりの睡眠をとり昼過ぎにベッドから起き上がる。 東京案内に連れて行く。との水銀燈が書いたメモを見ながら真紅は 遅い食事を取り久々の休日を過ごす。 「来やがれですぅ、そこですぅ、行け行けなのですぅ~!」 「きゃ~、カナのはダメかしらァァァ!」 3人はJRA場外馬券所で水銀燈の指導のもとで初めての競馬を経験していた。 「来やがったですぅ~。やったのですぅ~!!」 「ウフフ、えらいえらい翠星石。これで今月は乗り切れるわぁ~」 「水銀燈のお仕事はエキサイティングかしら~」 翠星石が万馬券を奇跡的に仕留めた頃、真紅は水銀燈が隠していた ヘソクリを見つけるとそのままポケットに入れ部屋を出る。 久しぶりの休日に真紅は17歳の女の子らしく服やアクセサリーを見て歩く。 時に高校の制服を着た同年代の女の子を横目で見ながらもショッピングを楽しむ。 (まったく水銀燈ったらお金がないとか言ってたくせに) 真紅の買い物は夕暮れ近くまで楽しみ両手に袋を持ち駅に着く。 (あら、またジュンはヘタクソな歌を唄ってるのだわ) 相変わらず道行く人々はジュンの唄が耳に入らないかのように通り過ぎて いく。 時には足を止める人もいるがすぐにジュンの前から消えていった。 「だからぁ~、君に会いたい~。僕はいつも君を想っているから~」 ジュンが唄い終わり顔を上げるとそこには真紅がジュンの前で座り聴いていた。 「あっ、えぇ~と。ノリの友達の真紅?」 「そうよ、貴方の唄を聴いていたのだわ」 「そ、そう・・・で、僕の唄ってどうなのかな?」 「ヘタクソよ。それにギターのチューニングも少しズレてるのだわ」 「はっ、はっきり言うね・・・ハハハ」 「かしてごらんなさい」 真紅はそう言うとジュンからギターを取り上げてチューニングを始める。 それを見るジュン。2人の姿を灯り出した街の明かりが照らし、昼間の熱が 残るアスファルトに真紅とジュンの影を作り出していた。 Illust ID VhxItIWD0 氏(28th take) 真紅はチューニングが終わると軽くギターを鳴らしてみる。 「チューニングしてあげたのだから荷物を持って頂戴」 「えっ?」 「聞こえなかったの。荷物を持って頂戴」 ジュンはギターケースと真紅の服やアクセサリーなどが入った袋を 両手にもちフラつきながら真紅と並んで歩く。 「ジュンの唄はただ大声を出してるだけなのだわ。あれでは誰も 聴いてくれないのだわ。ジュンはなぜ歌うの?」 「お前、言いたいほうだいだなッ。歌いたいから唄うんだよ。そして いつか僕だってノリのように夢を実現したいんだ・・・」 幼い頃ノリと同じ街に住んでいたジュンは親戚、同じ年の幼馴染でもあり ノリとは兄弟のように育った。いつしか中学にあがる頃には巴、メグとも 知り合い、流行りの曲をコピーするバンドが自然と出来上がっていた。 そのバンドが出来て半年もしない頃ジュンは東京に引っ越してしまった。 ジュンは別れ際にノリ、巴、メグと約束をしていた。 「いつかプロになって世界を飛び回ろう」 その約束はいつしか形を変えて今、ノリ達はラプラスとして 着実に夢に向かって進み出していた。 それを近くで見ていたジュンはいつか自分も、いつかノリ達と 同じステージ、同じライトの光の中で、と思うようになっていた。 「そう・・・それがジュンが歌う理由なのね?」 「うん・・・お前も歌ってるんだろ?真紅の唄う理由は何だよ?」 そう聞かれると真紅はしばらく黙りこみジュンと歩幅を合わせ歩く。 真紅とよく似ているジュンの唄う理由。仲間との約束、仲間との夢、そして 真紅が強く思い描いている未来の薔薇乙女達の姿。 「私も貴方と同じ。仲間との約束と、私達の夢のため」 そう思いながらも真紅はそのセリフが言い出せないまま2人は真紅と 水銀燈が住むマンションに続く昔ながらの商店街にさしかかると 真紅の口がゆっくり言葉を確かめるように動く。 「私の歌う理由は簡単なのだわ」 「何だよ、その簡単な理由って?」 「私の歌を聴いてくれる人がいるからなのだわ!」 そう言うと真紅は小走りでジュンの前に出るとジュンに向かって 右手でマイクを持つ仕草をし、やや前かがみになる。そして左腕 を大きく広げてこう叫ぶ。 「さぁ、私達の音に酔いしれるのだわ!」 薔薇乙女でいつもヤッていた真紅お決まりのポーズとセリフ。 夜空で淡い明かりを放つ真夏の満月が人通りの途絶えた商店街に 真紅がとるシルエットの影を落としていた。 (3)へ戻る/長編SS保管庫へ/(5)へ続く
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25. TV『今年もオタク最大の祭典、通称コミケが開催し…』 銀「この暑い中であんな人ごみの中によく行こうとするわねぇ…」 雛「本当なのよ」 雛銀「あっ、紅お姉ちゃんだ!」 銀「えっ!? どこどこ?」 雛銀「ここなのぉ」 TVを指差す。 銀「…ホントだ…しかも何て格好してるの…」 雛「…これって雛銀燈が見てるプ○キュアなのよ…」 銀「これでまたお金が無いって月末に言うのよねぇ…」 26. 番外編 雛「真紅…駄目なの…」 紅「ふふふ…本当にそう思ってるの? ここはもう固くなり始めてるというのに…」 妖しい笑みを浮かべ雛苺の胸の先端を摩る真紅。 雛「んあっ!」 紅「水銀燈も最近仕事で忙しいから…。こういう事もしてなくてムラムラしてるんじゃない?」 雛「そ…そんな事…」 紅「ずっと子どもだと思ってたけど、もうそんな声も出すのね…。こっちまで興奮してくるのだわ」 雛「…真紅…今なら友達のよしみで冗談で済ませてあげるの…だから…」 紅「悪いけど冗談じゃないのだわ。…それに、もうここまで来て終わりにするのも惜しい気がしてきたわ」 そう言うと服のボタンを外し、中に手を滑り込ませ直に雛苺の胸に触れる。 雛「いやぁっ! …す…水銀燈…助けて…!」 紅「そう嫌がられるとますますそそるのだわ。もっと声を聞かせて…」 柔らかく触れるだけだった手を変えて激しく揉みだした。 雛「あぁっ、いやぁ! 止めてぇ!」 紅「そろそろ本格的に頂くのだわ。大丈夫、水銀燈には秘密にしとくから…」 空いている片手でスカートのホックを外して脱がし、更にそのパンツの中に手を 銀「…へぇ…職場のパソコンでなかなか面白い物を書いてるじゃなぁい…」 不意に名前を呼ばれ、真紅はロボットのようにぎこちなく後ろを向く。 そこには口元は笑ってるが目には殺気がこもっている水銀燈が居た。 紅「す、水銀燈…」 銀「…真紅ったら、うちの雛苺の事そんな目で見てたのねぇ…」 紅「ち、違うの! これは今浮かんだネタを雛苺の名前を借りてメモってただけで、そんな気はさらさら…」 銀「…なら良いけどぉ…。ホントにやったら…殺すわよ」 ドスの効いた声で言われ、真紅の全身から嫌な汗が噴出した。 紅「はっ、はいぃ! どうもすいませんでした!!」 銀「……ならよろしい」 そう言って水銀燈はその場を去り、真紅の全身から力が抜けていった。 紅「…あの“殺す”は本気だったわ…」 もう少し自重しよう、今更ながらそう反省した真紅だった。 27. 薔「こんにちわ、遊びに来たよ…」 銀「やぁ、いらっしゃあい」 雛「うちに来るのも久しぶりなのよ」 雛銀「ばらしーお姉ちゃん、いらっしゃいなのぉ!」 薔「雛銀ちゃん、こんにちわ…久しぶりだね…」 雛銀「そうだねぇ! 今日は何して遊ぶのぉ?」 銀「きらきーもいらっしゃぁい」 雪「お邪魔しわすわ。雛銀燈ちゃんこんにちわ」 雛銀(ビクッ)「きっ、きらきーお姉ちゃんも……」 雪「お久しぶりですわね。元気そうでなりよりですわ」 なでなで 雛銀「~~~っ…!」 雛銀(じ~… ←雛苺の後ろに隠れてる) 雛「そんなに警戒しなくても大丈夫なのよ」 銀「そうよぉ。別に何も怖くないわよぉ」 雪「…雛銀燈ちゃん、こっちにいらして下さい」 雛銀(フルフル ←隠れたまま首を横に振る) 雪「完全に嫌われてるようですわね…」 薔「きらきー姉ちゃんが前に脅かすから…」 前遊びに来た時。 雪『はじめまして、雛銀燈ちゃん。苺お姉さまと銀お姉さまの昔からのお友達で、雪華綺晶といいますわ』 薔『私は薔薇水晶だよ…』 銀『ばらしーお姉ちゃん、きらきーお姉ちゃんと呼んであげなさぁい』 雛銀『ばらしーお姉ちゃん、きらきーお姉ちゃん、はじめましてなのぉ!』 薔『ふふ…可愛いね』 なでなで 雛『よかったねなの、雛銀燈』 雛銀『えへへー』 雪『本当可愛いですわ。目元なんて苺お姉さまにそっくりで…』 そのまま雛銀燈の両肩を持つ雪華綺晶。 雛銀『う、うゆぅ…』 雪『可愛すぎて…食べちゃいたいくらいですわ』 目を見つめたまま顔を覗きこんでくる雪華綺晶。 雛銀『う…うえぇ…!』 銀『ちょっときらきー、雛銀燈が怖がってるわよぉ』 雪『これは失礼しました。だって本当に美味しそうで…ジュルリ(ワザとらしく)』 雛銀『うっ、うわぁ~ん!! このお姉ちゃん怖いよぉ~!! うわぁぁ~ん!!』 銀「あれから大変だったんだからぁ…」 薔「そうだよ…もう、きらきー姉ちゃんもいたずら好きなんだから…」 雪「いやいや、調子に乗りすぎましたわね」 雛「本当なのよ…。雛銀燈、もう大丈夫なのよ。怖くないのよ」 雛銀「…本当?」 雪「ええ。仲直りのお印に、キャンディをあげますわ」 雛銀「キャンディ? …じゃあ、もらうのよぉ」 少し警戒しながら雪華綺晶に近付く雛銀燈。 雪「はい、キャンディですわ」 雛銀「うん、ありが…」 ガシッ(雛銀燈の腕を掴む雪華綺晶) 雪(クワッ! ←怖い顔) 雛銀「ひっ、ひやぁーー!!」 猛ダッシュで雛苺に泣きつく雛銀燈。 雛銀「やっぱ怖いのよぉ~!! うわあぁ~ん!!」 雛「……きらきー…何考えてるの…」 雪「可愛すぎていじめたくなってしまいまして、ついうっかり」 薔「つい、じゃないよ…もう…」 銀「…きらきーにも困った物ねぇ…」 雛銀「わたしは食べても美味しくないのよぉ~!! うえぇ~ん!」 誰にでもなつく雛銀燈ですが、雪華綺晶だけは苦手なようです。 イラスト (ID i5MBsAtF0 氏) 28. 雛銀「ねぇねぇ銀ママぁ~。こんなの見つけたのぉ」 雛銀燈がアルバムを広げて持ってきた。 雛銀「これって雛ママと銀ママなのぉ?」 銀「あら、懐かしいわねぇ。これ結婚する前の写真だわぁ」 雛銀「何年前なの?」 銀「そうねぇ…6年ぐらい前かしら。あなたが生まれる前よぉ」 雛銀「ふ~ん。これどこなのぉ?」 銀「これねぇ、確か水族館よぉ」 雛銀「水族館? わたしも行きたかったのよぉ」 銀「そんなこと言ったって、あなたまだいないものぉ。連れて行きようがないわぁ」 水銀燈は懐かしそうにパラパラとアルバムを捲っていく。 銀「…本当懐かしいわぁ…やっぱりあの頃から結構時間過ぎてるのねぇ…」 雛銀「ねぇねぇ銀ママぁ。昔の雛ママってどんな人だったのぉ?」 銀「そうねぇ…甘えん坊だったわぁ」 雛銀「雛ママが?」 銀「ええ。デートの間はずっと手を離さなくて、あちこち振り回されて…結構子どもっぽかったわよぉ」 雛銀「うそだぁ~」 銀「本当よぉ。…ま、そんなところが可愛くて好きだったんだけどねぇ」 雛銀「へぇ~。それで結婚したのぉ?」 銀「確かにお互い好き合ってたってのもあるけど、あなたが出来たからの方が強いわねぇ」 雛銀「わたしが?」 銀「そう。いわゆる出来ちゃった結婚ってやつねぇ」 雛銀「そうなんだぁ」 銀「でも…私は幸せよぉ。あなたと、雛苺と一緒に生活してて」 雛銀「わたしも雛ママと銀ママと一緒で、すっごく幸せなのぉ!」 銀「ふふ…そうねぇ」 ガラッ 雛「ちょっと水銀燈! 勝手に貯金下ろしたでしょ!」 銀(ギクッ)「な、何のことぉ? 私には何の事だかぁ…」 雛「とぼけるんじゃないのよ!!」 銀(ビクゥッ) 雛「何だか今月お金が少ないと思って通帳見てみたら…!」 銀「…ご、ごめんなさい…今月ちょっと使いすぎちゃってぇ…」 雛「別に下ろすなとは言ってないの! 勝手に下ろすのがいけないのよ!」 銀「だって言っても貸してくれないじゃなぁい…」 雛「使い方に問題があるからなのよ! 大体今月は…」 ガミガミガミガミ 雛銀「……雛ママが甘えん坊…なんだか信じられないの…」 29. 深夜。 ぷ~ん… 雛銀「……」 ぷ~ん… 雛銀「…うるさいのよぉ…」 雛銀燈は蚊の羽音で目を覚ました。枕元のライトを点けて蚊を探す。 雛銀「…いたのぉ…」 やがて蚊を見つけ、それが止まるタイミングを待つ。 そして、それが止まった。 雛銀「今なのぉ!」 ばっちん! 銀「いったぁ! いきなり何ぃ!?」 雛銀「銀ママぁ。顔に止まった蚊を潰したのぉ」 銀「……もう…びっくりしたぁ…やめてよねぇ…」 雛銀「はーい」 銀「さ、潰したんなら寝なさぁい。私も寝るわぁ…」 雛銀「おやすみー」 数分後。 ぷ~ん… 雛銀「…またいたのぉ…」 ――中略―― ばっちん! 雛「なっ、なんなの!?」 雛銀「雛ママのホッペに蚊が止まったのぉ」 雛「はあ…それを潰してくれたのね…ありがとなの…」 銀「またぁ…? 蚊取り線香無かったっけぇ…」 雛「ちょっと探してくるの…」 少しして。 雛「…ちょうど切れてたの…」 銀「えぇ…? そんなぁ…」 雛「…雛銀燈、もう蚊なんて相手にしないで寝るのよ…」 雛銀「えー」 銀「相手にしても良いけど私達起こさないでねぇ…」 雛「まだ2時…ヒナも寝るの…。雛銀燈も寝るのよ…」 雛銀「分かったのぉ…」 ぷ~ん… ばっちん 銀「痛っ!」 ぷ~ん… ばっちん 雛「うゆっ!」 そのまま朝に。 銀「…寝不足だわぁ…」 雛「…うぃ…同じなの…」 雛銀「すぅ…すぅ…」 銀「…本人は気持ち良さそうに寝てるわねぇ…」 雛「…今日朝一で蚊取り線香買ってくるのよ…」 銀「頼んだわよぉ…」 30. 番外編(http //rozen-thread.org/2ch/test/read.cgi/news4vip/1211976947/102-104 の続き) 結局真紅は水銀燈家を追い出された。 紅「雛銀燈ちゃんのことになると頭が固いんだからまったくもう…ちょっとした冗談なのに…」 ブツブツ文句を言いながら真紅は住宅街を歩き続ける。 紅「…ここから一番近いのは蒼星石のとこね。ここなら歩いて三十分ぐらいで着くはず…」 記憶を頼りに、蒼星石の家へ向かっていった。 二人の家兼営業所に到着。 紅「こんにちは~」 蒼「は~い…って、真紅。どうしたの?」 翠「あれ、真紅じゃないですか。今日は定休日ですよ?」 紅「やあ蒼星石、翠星石。実は折り入って相談が…」 真紅は事の経緯を二人に話した。 蒼「…それで明後日までここに泊めて欲しいと?」 紅「そうなのだわ。お願いできる?」 翠「まあ、それぐらいなら構わないですけど」 蒼「でも最初水銀燈の家に行ったんだよね? 何があったの?」 紅「かくかくしかじかなのだわ」 蒼「……そりゃ真紅が悪いよ…」 翠「…言っておきますけど、そんな胎教に悪いようなことしたら即、叩き出すですよ」 紅「分かってるわよ。それじゃあお願いね、ありがとう」 夕方ごろ。 紅「それにしても大分お腹大きくなったわね。今何ヶ月目?」 翠「もう7ヶ月入ったですぅ」 紅「そうなのね。体の調子はどう?」 翠「今は落ち着いてるですよ。ちょっとお腹が重たいですけど」 紅「まだ仕事やってるようだけど、大丈夫なの?」 翠「力仕事はほとんど蒼星石がやってくれてるですぅ。私は事務仕事がメインですよ」 紅「それなら安心していられるわね」 蒼「二人ともご飯出来たよ。もう食べようか」 紅「あれ、今日は蒼星石がご飯作ってたの?」 翠「休みの日は蒼星石が作ってくれるんですぅ」 紅「相変わらず仲良くて良いわね。羨ましいわ」 翠「じゃあ早く相手見つけるですよ。それじゃ、頂くですぅ」 紅「ええ」 紅「………」 蒼「翠星石、あ~ん♥」 翠「あ~ん♥」 蒼「どう?」 翠「すっごく美味しいですぅ。お返しですぅ、あ~ん♥」 蒼「あ~ん♥」 紅(……料理は美味しいのに…甘い空気のせいであまり食欲が湧かないのだわ…) 夕食後、お風呂を借りた真紅。 紅「ありがとう、良いお湯だったわ」 翠「そうですか。じゃあ私達も入るですぅ」 蒼「そうだね、入ろっか」 紅「えっ? 二人一緒に入るの?」 蒼「? そうだよ?」 翠「いつもの事ですぅ」 紅「…あ…そう…いつもの事なのね…」 蒼「うん。じゃあ翠星石、今日も背中流してあげるね♥」 翠「もう、いつもそうやってくすぐるんですからぁ♥」 蒼「だって翠星石の背中綺麗なんだもん♥」 翠「蒼星石のえっちぃ、ですぅ♥」 紅(…頭痛がしてきたのだわ…) そんなこんなで寝る時間になった。 蒼「じゃあこの部屋を貸すね」 紅「ありがとう。今日は見たいテレビも無いし、このまま寝るわね」 蒼「分かった。おやすみ」 紅「おやすみなさい」 紅「何だか意味も無く疲れたわ…。…ん…?」 壁の向こうから声が聞こえてくる。蒼星石と翠星石のようだ。 蒼『じゃあ今日も抱きしめてあげるね♥』 翠『蒼星石ぃ…あったかいですぅ…』 蒼『可愛いよ翠星石♥生まれてくる子も翠星石に似て可愛いだろうね』 翠『きっと蒼星石に似てカッコイイですよぉ♥』 蒼『楽しみだね、翠星石♥』 翠『本当に楽しみですぅ♥』 壁越しにイチャイチャ♥イチャイチャ♥ 紅「………」 次の日。 蒼「え、帰るの? もう一泊するんじゃなかったっけ?」 紅「…急用を思い出したのだわ…。泊めてくれてありがとう。それじゃ…」 蒼「そう…それじゃあね」 翠「さよならですぅ」 紅「うん…」 紅「……もう一日一緒に居たら精神的に死ねるのだわ…」 真紅に二人のラブラブな空気は辛かったようです。 31. 番外編(http //rozen-thread.org/2ch/test/read.cgi/news4vip/1212656655/8-9,25 の続き、書き込みから) 紅「雛銀燈ちゃん、美味しい飴をあげるわ」 雛銀「ありがとう紅お姉ちゃん!」 真紅から飴を貰い、それを嬉しそうに口の中に入れる雛銀燈。 紅「美味しい?」 雛銀「うん!」 満面の笑みで雛銀燈は頷く。 だがそれを舐めていると、段々顔が赤くなってきて目がトロンとしてきた。 紅「どうしたの?」 真紅が渡したのは媚薬入りの飴。それを知っていながらわざとらしく尋ねる。 雛銀「紅お姉ちゃん…何だか…体が熱くなってきたのぉ…」 紅「それは大変だわ。すぐに診察しないと」 雛銀「診察ぅ…?」 紅「ええ。だから服を脱いでここに座って」 雛銀「…分かったのぉ…」 真紅の企みも知らずに言われたとおりにする雛銀燈。 雛銀燈は真紅の目の前で服のボタンに手を掛け 金「…またそんなの書いて…呆れたかしら…」 後ろから真紅のパソコンを覗き込んだ金糸雀は心底呆れたように溜息を吐いた。 それを気にせず真紅はパソコンを打ち続ける。 紅「いいじゃない、ちょっとした暇つぶしよ。これで意外とネタも浮かぶんだから」 金「興味無いかしら…また水銀燈に見つかったらどうするつもりかしら」 紅「大丈夫よ、水銀燈は今会議中だからあと一時間は帰ってこないわ」 金「だからってねぇ…。…あ…」 やれやれと金糸雀が首を振ると、水銀燈が扉の前に立っているのに気が付いた。 金糸雀と真紅の様子に気付き、その隣に音も無くやってきてパソコンを覗き込む。 だが真紅はパソコンに夢中で気が付かない。 紅「…それでここから…ふふふ…」 銀「………」 金「…し…知~らない、かしら…」 金糸雀は逃げ出した。 紅「う~ん、なかなか面白いのが書けたわ。ねえ金糸雀、これ本にしたら受けると…お…も……う…?」 伸びをしながら金糸雀がいた方向を向き、それで水銀燈に気がついて時が止まった。 水銀燈はこめかみに血管を浮かべ、氷の笑顔を張り付かせながらパソコンを眺めている。 銀「さぁ…? オタクの世界には興味ないわぁ」 紅「す、水銀燈…。会議は…」 銀「予定より早く終わったわぁ。それで戻ってきたら…。雛苺だけじゃなく雛銀燈までねぇ…」 紅「…そ、そうだったのだわ! 午後に重要な打ち合わせがあったのだわ! もうそろそろ…」 ガシッと真紅の方を掴む水銀燈。 紅「ひっ!」 銀「……」 それから1週間、真紅は会社を休む羽目になった。 32. 雛銀「……」 雛「…正直に言うのよ」 雛銀「……」 雛「押入れの奥に隠してあった割れた花瓶…雛銀燈がやったの? どうなの?」 雛銀「そ…それは…」 雛「…どう、なの?」 背けた雛銀燈の目を厳しい目で覗き込む雛苺。 それで観念したのか、雛銀燈の目から大粒の涙が流れ始めた。 雛銀「…う…うぅ…ご…ごめんなさい…!」 雛「…どうして隠したりしたの?」 雛銀「だって…! だってばれたら…怒られると思ったんだもん…!」 雛「…そうよ。ヒナは怒ってるのよ」 雛銀「ひ……」 雛「でもね、ヒナは花瓶を割ったから怒ってるんじゃないの。素直に言わなかった事に怒ってるのよ」 雛銀「え…?」 雛「初めから素直に言えば怒ったりしなかったのよ。嘘つきは泥棒の始まりっていうのよ。泥棒になりたい?」 雛銀「…やだ…」 雛「でしょう? だからこれからは嘘ついたり隠したりしないで素直に言うのよ。そうすれば怒らないから」 雛銀「うん…わかったの…」 雛「分かったなら良いのよ。怪我は無いの?」 雛銀「大丈夫…」 雛「なら良かった。次からは気をつけるのよ」 雛銀「はい、分かりましたなのぉ」 銀「……」 それから1時間後。 銀「ね、ねぇ雛苺ぉ…」 雛「どうしたの? 急に改まって」 銀「確か雛苺って、大切なピンクのリボン持ってたわよねぇ…?」 雛「うん。新婚旅行のお土産で買った…それがどうかしたの?」 銀「実はねぇ、前にそれで雛銀燈とあや取りして遊んでたのよぉ…」 雛「そんな事してたの? …まぁ、それぐらい別に…」 銀「それでねぇ、途中で絡まっちゃってぇ…解こうと思って引っ張ったらぁ…」 雛苺から目線を逸らしたまま水銀燈はポケットから手を出した。 銀「…こう…なっちゃいましてぇ…」 その手には千切れたリボンが握られていた。 雛「なっ…!!」 銀「…ご、ごめんなさぁい…こうなっちゃって…。…でも、素直に言ったから許してくれるかなーって…」 雛「…す…!」 銀「……あの…」 雛「水銀燈ぉーーー!!」 銀「雛銀燈に言ってた事と違うわぁー!」 雛「水銀燈は大人でしょ!!」 33. 水銀燈家に金糸雀が遊びにやってきた。 雛銀「カナお姉ちゃん、いらっしゃーいなのぉ」 銀「また何か大きいカゴ持ってきたわねぇ…洋服?」 金「違うかしら。今日はお友達を連れてきたかしら」 雛銀「おともだち? カナお姉ちゃんの?」 金「そうかしら。さあ、出てくるかしら」 カゴを床に置き蓋を開けると、中から茶色いネコが出てきた。 雛銀「ネコさんなのぉ!」 金「ピチカートって言う名前かしら。ほら、名前呼んであげてかしら」 雛銀「こんにちわなのぉ、ピチカート!」 雛銀燈が名前を呼ぶとピチカートは挨拶代わりかニャーと一鳴きした。 金「よろしくね、だって」 雛銀「よろしくなのぉ!」 銀「でもいつから飼ってたのぉ? 全然知らなかったわぁ」 金「先週ぐらいかしら。みっちゃんが友達から貰ってきたかしら」 雛「今いくつなの?」 金「まだ半年かしら」 三人が話をしてる間にもピチカートと雛銀燈はじゃれあっていた。 雛銀「きゃっきゃっ、ホッペ舐めちゃくすぐったいのよぉ」 金「どうやら雛銀ちゃんを気に入ったみたいかしら」 銀「よかったわねぇ、雛銀燈」 雛「ほら、写真撮ってあげるのよ。こっち向くの」 雛銀「ほら、ピチカート! チーズ!」 そんなふうに過ごしていると玄関のチャイムが鳴った。 銀「はぁーい」 玄関を開けると真紅が立っていた。 銀「真紅ぅ…。どうしたの?」 紅「ちょっと近くまで来たから寄ったのだわ」 銀「…まぁ、いいけどぉ…」 金「あれ、真紅かしら。どうしたのかしら?」 雛銀「紅お姉ちゃんなのぉ」 雛「いらっしゃいなの」 紅「近くまで来たからちょっと寄ったのだけど…」 真紅がピチカートに気が付いた。 紅「ね、ネコ…!」 金「ああ、この子ピチカートっていうかしら」 雛「金糸雀のネコなのよ」 紅「そ、そう…」 銀(そうだ)「雛銀燈、ピチカートが真紅に挨拶したいってぇ。挨拶させてあげなさぁい」 雛銀「分かったのぉ。ピチカート、紅お姉ちゃんなのよぉ」 ピチカートを抱っこして真紅に近付く雛銀燈。 紅「ひっ、ひい! わ、悪いけど用事が出来たのだわ! さよなら!」 ネコを怖がって真紅はさっさと水銀燈家を出て行ってしまった。 雛銀「うゆぅ…?」 銀(…家もネコ飼おうかしらぁ…) 最近真紅が色々危ないと感じてきた水銀燈はそんな事を思った。 イラスト (ID if+p+eii0 氏)
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アイテム説明 イルミンスール制服 装備種別 服 攻撃力 0 魔法攻撃力 0 防御力 0 魔法防御力 2 レンジ - 消費SP 0 売却価格 200G 装備レベル 1 装備可能クラス - 装備可能種族 - 属性 付与属性 耐性 炎熱 - 100% 雷電 - 100% 氷結 - 100% 光輝 - 100% 闇黒 - 100% 【解説】 イルミンスール魔法学校の制服。伝統を感じさせる。 用語辞典/あ
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遅いな……。 部室に残った真紅は戻ってこない、翠星石にいたっては昼休みから見てないし、2人ともどうしたんだろ? 僕はそう思いながらチラッと隣の席と後ろにある席を見る。 いつもなら金髪をツインテールにしている真紅と栗色の長い髪を退屈そうに指でもてあそぶ翠星石の姿があるのに、今は2人ともいない。 チョークが黒板に文字を書くたびにコツコツっと単的な音が教室に響く、その音を聞いているとなぜか僕の胸には不安の色が濃く浮かび上がった。 「えぇ~、真紅も翠星石も授業に出てないかしら~?」 「えっ、じゃ、水銀燈もいないのか?」 結局あれから真紅と翠星石は教室に帰ってこなかった。 それどころか水銀燈まで姿を見せていないようだ。 僕がそれを知ったのは午後の授業が終わり掃除をしているときに隣の教室から不安そうな顔付きで表れた金糸雀と話してからだった。 「もう、カナをほったらかしにして3人で何をヤッてるかしらぁ?」 「電話はどうなんだ?繋がるのか?」 「ダ、ダメかしらぁ~、みんな留守電になってるかしらぁぁ~」 「そうなのか……」 留守電に金糸雀のメッセージが入っている頃、水銀燈は制服の上にライダースのジャケットを着てZX-10Rに乗り、有栖川総合病院の駐車場にいた。 「ふぅ、さすがにこの季節になるとバイクはツライわねぇ~」 フゥ~っと白い息を凍えた手に吹きかけると、10階にある病室の窓を見る。 そしてZX-10Rのとなりに止まっている青いスカイラインGT-Rをチラッと確認し、ジャケットのポケットに手を入れると病院の中に入っていく。 「こんにちはぁ~~」 「あぁ、水銀燈、いらっしゃい」 ベッドで人形のように眠る1人の少女、その脇にめぐはいた。 ブルーRと呼ばれロックバンドENJUのヴォーカリスト、めぐ。 彼女と水銀燈は数ヶ月前までは犬猿の仲であり、深夜の高速で壮絶なバトルを繰り広げたこともあった。 しかし、めぐは水銀燈がスピードの中にある音楽、風が導いてくれる最上のフレーズを探して走っていることを知り、今こうしてベッドから目を覚ますことのない妹、薔薇水晶の影を水銀燈の中に見た。 そして水銀燈も妹を廃人にまで追い込んだバイクという乗り物に復習するかのように走るめぐの心境を知り、こうして何度か目覚めない薔薇水晶のお見舞いに顔を出していた。 「今日はどうしたの?水銀燈」 「まぁ、なんとなくよぉ~」 「ふふ、水銀燈は毎回ここに来る理由は何となくなんだね」 クスッと笑っためぐの笑顔にはもうあの頃のような冷たい笑みではなく、自然で優しい微笑みであった。 そんな微笑に水銀燈もニコッと笑った後、すこし切り出しにくそうに口を開く。 「ねぇ、めぐぅ…ちょっと聞きたいんだけどぉ、ENJUってギターもう一人くらい入れるのぉ~?」 「えっ!? どういう意味? ローゼンメイデンはどうしたの?」 「フフッ、何となく聞いただけよぉ、深い意味はないわぁ~、ただタマには違うバンドで音を出してみたいなぁぁ~なぁ~んて思っただけよぉ」 「そうなの、私達ENJUとしては水銀燈なら大歓迎よ」 「フフッ……」 水銀燈とめぐが話している頃、翠星石はあの日、ジュンと一緒に乗った観覧車で小さくなっていく人込みを見下ろしていた。 「寂しいですぅ…やっぱり翠星石はバンドも真紅も大好きなのですぅ~」 西の空に冬の太陽がゆっくりと沈んでいく。 遠くに見える山の頂上はその光でオレンジ色に染まり出している。 あの日、ジュンと2人で乗ったこの観覧車、あの頃はまだ夏の香りがしていた。 あの山も、観覧車の窓から見える高速道路も、その向こうに見える青い海もみんな輝いて見えた。 ほんの数ヶ月前の思い出があまりにも眩しすぎて翠星石の胸を締め付ける。 ゆっくり、ゆっくり、そっと観覧車は上を目指して登っていく。 どうしてこんな事になったですかぁ―――――――――――――。 一番上にきた観覧車の窓から淡いオレンジ色の粒子が泣き出した翠星石を優しく包んでいた。 「私は……ジュン…翠星石……」 そして同じ頃、真紅は街のネオンが輝きだした交差点を行き交う車のテールランプを歩道橋の上からぼんやりと眺めている。 クリスマスが近付いたネオンは、どこか優しく、そして暖かい。 サンタの格好をした人がおどけながら交差点を渡る人の群れに笑顔を振りまいている。 そしてどこからかクリスマスキャロルが流れ出す。 こんなに体が寒いのはどうして? こんなに胸が苦しいのはどうして? いつしか歩道橋の上で佇む真紅の手には部室でひろったピックが握り締められていた。 それをじっと見つめる真紅は自分に質問を投げかける。 私は本当にジュンが好きなの? あの時のキスは? 私の気持ちはどうなの? これは本当に恋なの? 人を好きになるのはこんなに苦しいの? 私は…私の想いはどこを見ているの? しばらく真紅はピックを見つめたまま動かない。 そして街の音を聞きながら目を閉じるとピックを力いっぱい握り締める。 私は―――――――――――――――もう迷わないわ! そっと広げた手のひらからピックは音もなくスローモーションのように歩道橋からこぼれ落ちた。 * 「もう、カナの事をなんだと思ってるかしらー」 「本当にみんなどこ行ったんだよ? まぁ、僕のほうからも電話してみるよ」 「解ったかしらぁ、連絡が付いたらカナが怒っていたと伝えてほしいかしらぁ!」 「あぁ、そう伝えておくよ、じゃっ、バイバイ」 「カナを除け者にして今頃は美味しいものを食べてるに違いないかしらぁ」 いや、多分それは違うと思うけど………。 金糸雀はブツブツと不平不満を並びたてながら帰っていった。 やはり真紅達と連絡が取れないことに金糸雀はかなりご立腹のようだ。 まぁ、確かに3人同時に授業を抜けるのに僕か金糸雀に何も連絡が来ないのはおかしい。 水銀燈なら不意によく姿を消しているけど真紅と翠星石までもいないのはどうも……翠星石、そうだ、今日の翠星石はどうも様子が変だったな、何だか僕と真紅を避けているように感じたけど……なにかイヤな予感がするなぁ~。 この時の僕はただ漠然イヤな予感がしていただけだった。 その漠然としたものが何なのかはっきり解ったのは家に帰り、蒼星石と電話で話をした直後に訪れるとは思いもしなかった。 ジュンが部屋で制服から部屋着に着替えている頃、蒼星石はいっこうに繋がらない携帯を心配そうに見ていた。 翠星石はどうしたんだろ? みんなと映画でも見てるのかな? ふとそんな考えが浮かぶと少しやりきれない気持ちになる。 それは、みんなと言う中にはジュンが含まれているからである。 確かに真紅達とは違う学校に通っている蒼星石にとって今回のように不意にみんなと連絡が取れない時がよくあった。 だいたいそんな時は学校の帰りに盛り上がってそのまま映画やカラオケといった事が何度もあった。 今までだと翠星石が見てきた映画の内容やカラオケでのエピソードに蒼星石は笑顔で聞いていられた。 だが、ジュンに想いを感じ始めた蒼星石にとって映画やカラオケの話の中に、その場に自分が居ない時のジュンが含まれる話を聞くのは切なく感じる。 できれば自分もその中にいたい、少しでも近い場所にいて同じ時間、同じ光景を見ていたい。 そう思う蒼星石は繋がらない携帯の画面を翠星石からグループ検索に変えてジュンの番号を選び、ボタンを押す。 ジュン君、出てくれるかな………? 呼び出し音が1回鳴る毎に蒼星石の胸の鼓動は早くなっていく。 そして数回目の呼び出し音を聞いた時にジュンの声が聞えた。 「あ、あの…ジュン君、僕、蒼星石だけど…」 「あぁ、蒼星石か。どうしたんだ?」 「う、うん、今ジュン君、何をしてるのかな~って思って」 「家に帰ってきた所だよ、あぁ、そうだ、そこに翠星石っているのか?」 「えっ、翠星石はまだ帰ってないよ。僕はてっきりジュン君達と一緒にいるもんだと思っていたんだ」 「いや、翠星石も真紅も水銀燈も昼から居なくなってるんだよ」 本来なら翠星石たちがどこで何をしているのか気になる所だが、今の蒼星石にとってはジュンが一人でいること、そしてジュンと話しているほうが大切に感じられた。 ぼ、僕は―――湧き上がる気持ちにそっと呟くような言葉が出そうになる。 「ねぇ、ジュン君……」 「ん? 何だ?」 「あの~、僕が書いた詞の意味なんだけど…」 蒼星石はそこまで言うと次の言葉が出なくなる。 それはこの先に続くであろうセリフを言ってしまうのが怖かったからだ。 胸の深い所から導かれるように表れる気持ちを伝えてしまったら、もう二度と後戻りできない、いくら神様に祈りをしたところで伝えてしまった1秒後には戻れない、そして伝えたことにより全てを包む今の時間が押し潰されて行きそうで、そんな重い考えに蒼星石は勇気が出ない。 そう、たった「好き」と伝える一言に恐怖を感じている。 「あぁ、今朝みた蒼星石の書いた詞だろ? うん、凄くイイ感じだと思ったよ、 なんだか切なくて、こう何て言うのかな、恋?って感じが伝わってきたよ、 ちょっとラブレターみたいな詞だと思ったけど、あぁいう手紙を本当に貰ったらウレシイだろうな~ハハハ~」 電話の向こうで笑うジュンに蒼星石は声に出さずに心の中だけで囁く。 ジュン君、それは…僕の……ジュン君を想う気持ちなんだよ… 「よ、良かった~、ジュン君に誉めてもらって嬉しいよ…」 「いや、でも本当にいい詞だと思うよ、えっ、ん?……ははッ、ゴメン蒼星石、なんだかオヤジが呼んでるから、また後でいいかな?」 「うん、それじゃ翠星石が帰ってきたらジュン君や金糸雀が心配してたと伝えておくよ」 「あぁ、そう言ってもらえたら助かるよ、じゃ、バイバイ」 「うん、じゃぁねジュン君、バイバイ」 ジュンとの電話を終えると、フゥ~と深い息をつく。 誉められた詞、そして言い出せなかった気持ちに心は喜んでいいのか後悔すべきか蒼星石には解らなかった。 ただ次に何かきっかけがあれば「好き」と言ってしまいそうになる。 そんな予感めいた事を思う蒼星石の胸は激しい鼓動を感じていた。 「なんだよ~? もう、ご飯なのか~?」 蒼星石との電話を邪魔した父親に僕は少し声を上げながらテーブルについた。 そこには新聞紙を広げたままコーヒーを飲む父親は僕の顔も見ずに一言こういった。 「ジュン、突然でスマンが年明けくらいに転校することになりそうだ」 えっ? なんだよ、今なんて言ったんだよオヤジ? 転校って言ったのか? 僕は父親の言ったセリフがすぐには理解できなかった。 いや、理解というより信じたくなかったのかもしれない……。 ジュンに新たな転校の話が出た頃、翠星石は遅い帰宅をする。 蒼星石はいつもの声で呼ぶのを聞えないふりをして部屋に入った翠星石はイスに座り、机に飾られている写真を手に取る。 そしてこんな悩みなど知らない頃のバンドメンバーに語りかけてみる。 翠星石はどうしたらいいですかぁ? 見つめて語りかける写真には、まだジュンと出会う前の真紅と翠星石が無邪気な笑みを見せて手を取り合って写っている。 その周りには蒼星石、そして知り合ったばかりの水銀燈と金糸雀がいる。 自分達の大切なバンド、ローゼンメイデンが産声を上げた頃の笑顔だった。 翠星石は、どうしたらいいですかぁ、ねぇ答えるですぅ、真紅ぅ、蒼星石、水銀燈、金糸雀…教えてですぅ……… 翠星石は、翠星石は…やっぱり真紅も、みんな大好きなのですぅ。 でも、恋って、人を好きになるのはこんなにも辛くて痛い事なのですかぁ? もう、こんな気持ちはイヤですぅ、もうゴメンなのですぅ~!! 翠星石は携帯を手にすると、真紅の番号を押した。 その頃、真紅は電源を落とした携帯に気付かずにいる。 ただ真紅の足はまっすぐ翠星石の家に向けられていた。 (7)に戻る/長編SS保管庫へ/(9)に続く